カクテルの一杯、美味しいものですね。カクテルはひと口でいうと、「混ぜた酒」のこと。酒に何かを混ぜると、とりあえず「カクテル」になるわけです。
でも、どしてカクテル cocktail が「カクテル」であるのかは、分かっていません。近くの辞書を開くと、「起源不詳」とあります。これを逆に申しますと、カクテルの語源説は星の数ほどあるわけです。
もし、カクテルの語源説を並べようとするなら、一冊の本になるでしょう。ただ、ひとつだけはっきりしているのは、「カクテル」がアメリカ生まれの言葉であることです。
昔、アメリカ、NY、ハドソンに、『ザ・バランス』という新聞がありました。1801年から1808年まで、発行されていた新聞。
1806年『ザ・バランス』5月13日号に、「カクテルとはリキュールとスピリッツを混ぜた飲物である。」と、あります。
少なくともアメリカの新聞に出た「カクテル」としては、最初のものだろうと、考えられています。ここから推し量るなら、およそ1790年代に生まれた言葉ではないでしょうか。
カクテルで、NYと関係あるものに、「マンハッタン」があります。マンハッタンはらい・ウイスキーを基にしたカクテル。ライ・ウイスキーにヴェルモットとアンゴスチュラ・ビターズを加えると、マンハッタンに。
一説に、マンハッタンは、当時あった『マンハッタン・クラブ」で生まれたんだとか。ウインストン・チャーチルのお母さんは、ジェニーで、アメリカ生まれ。ある日「マンハッタン・クラブ」で後援会を開いた。この時に出したカクテルが、後の「マンハッタン」であるらしい。
マンハッタンが出てくるミステリに、『ぼくの美しい人だから』があります。グレン・サヴァンが、1987年に発表した物語。
「サラ・ロースがマンハッタンのグラスからさくらんぼをつまみあげた。」
また、こんな描写もあります。
「マックスは襟穴に白いカーネーションを挿した。」
マックス・バロンは、27歳のコピーライターという設定。物語の主人公。パーティーがあるので、タキシードを着ている場面。
タキシードのブートニエールは、自由です。が、一般には赤いカーネーションを挿すことになっています。もし、それがイヴニング・ドレスなら、ホワイト・カーネーションということになるわけですね。