柚餅子と雪駄

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

柚餅子は地味ではありますが、美味しいものですね。柚餅子は、日本人ならではの、滋味でありましょう。
柚餅子と書いて、「ゆべし」と訓みます。もしこれを「ゆもち」と訓んだなら、嗤われてしまうでしょう。でも、昔は「ゆもち」と言った。時代の流れから言いますと、まず「ゆもち」があって、それから後に「ゆべし」となったんだそうですね。
「柚餅子」 ( ゆもち ) は、1803年にはじまっているんだとか。京都の「鶴屋」で。もちろん柚子の香りを活かした菓子。ただし初期には、携帯食としても用いられたようですね。
柚子のお好きだったお方が、堀口大學。堀口大學は大正六年に、帰国。それ以前は主にフランスに留学していたのですが。日本に帰った堀口大學はどうなったのか。

「江戸の昔から伝わっていて、東京の下町に残っている衣食住に、レファインされた生活上の伝統が、もの珍しくもあり、美しくもあり、また楽しくも感じられた。」

堀口大學著『柚子の話』にはそんな風に書いています。で、結局、自宅の庭に柚子の木を植えるんですね。サヨリの糸づくりに柚子を添えるために。
堀口大學の場合、反動なのでしょう。和服を着るようになって。

「白足袋の清潔と、革雪駄の軽快を愛するようになった。」

そうも書いています。
雪駄は一説に、利休の発明であるとも考えられています。雪道を茶室まで歩くのに、下駄だと、雪が詰まって歩きにくい。で、革底の、雪駄を。雪駄も、日本人ならではの、優雅ですよね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone