キュラソーとサヴィル・ロー

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

キュラソーは、リキュールのひとつですよね。でも、もともとの「キュラソー」は、島の名前なんだそうです。キュラソー島。
キュラソー島は、オランダの中にあります。カリブ海に浮かぶ美しい島。「キュラソー」の名は、ポルトガル語の「真心」と関係があるんだそうですね。
そもそものキュラソーは、1695年に遡るというのですから、古い。オランダの、「デ・カイパー」という会社が、キュラソー島のオレンジの皮を乾燥させて。これをブランデーと混ぜて、仕上げたんだとか。それで今に、キュラソー。
キュラソーにもいろんな種類があります。が、もともとはオレンジ・キュラソーからはじまっているんでしょう。
キュラソーが出てくる詩に、北原白秋の『断』があります。

ナイフ執り、フォーク執り、女らに言葉かはせど、
色赤きキュラソオ酒さかづきにあるは満せど…………。

「色赤き」というのですから、これもまた、オレンジ・キュラソーだったのかも知れませんね。北原白秋はほんとうに、オレンジ・キュラソーがお好きだったみたいです。木下杢太郞の、『北原白秋の肖像』にもキュラソーが出てきますから。

「あれはまだあるかね、マンダラン= キュラソーは?」

これは、『メグレたてつく』の一節。もちろん、ジョルジュ・シムノンのミステリ。メグレは昔を思い出して、とある酒場でキュラソーを頼む場面。メグレの若い頃には、キュラソーを飲むのが流行ったのでしょう。それとは別に、こんな描写も。

「彼は健康であり、たくましく、ロンドンで作らせたに違いない服と同じく小ぎれいであるという印象を与えた。」

「彼」とは、若い警視総監のこと。警視総監はフランスでのエリートでしょうから、「ロンドン」とはたぶん、サヴィル・ローを指しているんでしょうね。
サヴィル・ローのスーツを着て。パリにキュラソーを飲みに行くのは、夢ですよね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone