松茸とマニュキア

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松茸は高級品ですよね。そうそう簡単には口に入らないことになっています。「香り松茸、味しめじ」とはよく聞かれる言葉でしょう。
松茸もまた、キシメジ科の植物なんだそうですが。ヨーロッパにトリュッフがあれば日本に松茸がある、というところでしょうか。佳い松茸は赤松の下に生まれるという説があります。ことに日本での松茸は京都に限る、そう考えるむきも少なくないようです。京、北山の松茸こそ絶品であると。
小島政二郎著『食いしん坊』に松茸の話が出てきます。京都、錦小路で松茸を買う話。「辻留」のご主人が錦で松茸を買うと、上物が消えてしまう、と。つまり松茸を選ぶにもそれなりの「眼」が必要なのでしょうね。
河野一郎に『食べる樂しみ』という随筆があります。 『食べる樂しみ』には、「鯵の干物」が好きなんてことも書いてあります。それも、ごく薄味の干物がお好きだったらしい。河野一郎は、1950年代に、農林大臣であって政治家。
また『食べる樂しみ』には、松茸のことも出てきます。松茸山ですき焼きをしたなら、さぞ美味しかろうと。たぶん上等の牛肉と、松茸だけのすき焼きを夢見ていたのでしょうね。松茸ということは戸外で、その辺に松茸が生えてるわけですから、贅沢というものでしょう。
1950年代に河野一郎は、アメリカを訪問。この時、飛行場にハリウッド女優が出迎えに。アメリカでの歓迎ですから、たがいに握手。この時、河野一郎は女優の手の、爪の美しさに気づいた。
河野一郎は帰国後、透明のマニュキアをするようになったという。戦後、日本の政治家ではじめてマニュキアをしたのは、たぶん河野一郎だったでしょう。
松茸をいただく時、マニュキアの手であるべきかどうか。ゆっくり考えてみるといたしましょう。

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