ドイツとトラウザーズ

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ドイツは、ビールの美味しい国ですよね。美味しいビールがあって、美味しいポテトがあって、美味しいソーセージがある、そんな印象があります。
ドイツでは昼にしっかりと食事をするんだそうです。要するに、夜の食事は日本に較べて、軽い。ドイツ風のパンがあって、ハムがあって、チーズがあって。これもまた、ドイツならではの合理性なのでしょうか。
では、ドイツのチーズはどんな感じなのか。ドイツ人はむかしから、エダム・チーズがお好き。むかしとは言っても、十三世紀の頃からなんだそうですから、年季が入っています。
エダム・チーズは言うまでもなく、オランダの、ハード・タイプのチーズ。たいてい「赤い服」を着ているので、俗に「赤玉」の名前で呼ばれたりすることがあります。
エダム・チーズは、もともと輸出用のチーズだったという。その積出港が「エダム」だったので、その名前があります。「エダム」はアムステルダムの少し北に位置する港町。
あの赤いワックスは保存のためで、輸出用限定。国内向けには赤いワックスはありませんでした。
もし、フランスへ行ってチーズを食べたいとき、なんて言えばいいのか。
「ヴザヴェ・デュ・フロマージュ・シル・ヴ・プレ?」
これは『モジリアーニ・スキャンダル』を読んでいて、教わったことなのですが。『モジリアーニ・スキャンダル』は、ケン・フォレットが、1976年に発表したミステリ。この中には、トラウザーズの話も出てきます。

「ジャケットに合わせてズボンを二本作っているから、スーツは一生もつだろう。」

これは私立探偵の、ダンスフォード・リプシーの呟き。ダンスフォード・リプシーは、英国、サヴィル・ロウで、古典的なスーツを仕立てていて。それが、一着の上着について、ふたつのトラウザーズ。だから「一生もつ」と考えているわけですね。
そういえば、かのウインザー公はいつも、一着の上着に二本のトラウザーズを仕立てる習慣だったそうです。
膝の抜けていないトラウザーズで、美味しいチーズを食べに行きたいものですね。

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