小山内薫とお洒落

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小山内薫は、有名ですよね。演劇の神さまみたいなお方だった人物。
小山内薫といえば、大正十三年にはじまった「築地小劇場」でしょうか。この「築地小劇場」に参加したのが、土方与志。土方与志のほかにも、和田 精や友田恭介、浅利鶴雄 などがいたそうです。
和田 精は、和田 誠のお父さん。浅利鶴雄は、浅利慶太のお父さん。たったこれだけからも、小山内薫が日本演劇の父であったことが窺えるでしょう。
小山内薫、ある時晩餐に招かれて。食事の後、テーブル・スピーチを依頼される。で、小山内薫はざっとこんな話をした。
「古代ローマでは実に残酷な見世物がありまして。ライオンに奴隷を食わせたりしたものであります。腹を減らした獰猛なライオンが、今まさに奴隷を食べようと。その時、奴隷はライオンの耳にそっと囁いた。と、ライオンはすごすごと引きさがった。で、隣の奴隷がライオンになんと言ったかを訊いた。するとその奴隷は言った。「なあに、私を食べるのはいいが、その後でテーブル・スピーチを頼むよ」と言ったのさ。」

この小山内薫の即席のテーブル・スピーチは、拍手喝采だったそうですね。まあ、誰しもテーブル・スピーチはご勘弁願いたいものですからね。
この話は、徳川無声著『話術』に出てきます。また、『話術』には、こんなことも。

「これは単なるお洒落ではない。聴衆に対して失礼のないよう、好い感じを与えるよう、演説者たるものの身だしなみ、一つの義務であります。」

徳川無声は、演説者の服装の大切さを説いて、このように言っています。まったく、同感。服装を整えるのは、人としての義務なのです。
小山内薫とて、ほぼ同じ考えだったでしょう。

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