ハムレットとハンカチーフ

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ハムレットはもちろん、シェイクスピアですよね。説明するのが恥ずかしいくらいのものでありましょう。シェイクスピアの、悲劇。だいたい1600年頃に書かれたものではないかと、考えられています。
1950年代の日本で、「ハムレット役者」と呼ばれたのが、芥川比呂志。多く、ハムレット役を演じたからであります。
ハムレットは時代劇ですから、黒いタイツが下半身の衣裳となります。時代劇ですから、タイツの上に短剣を吊る。短剣を吊るために、針金を使う。この針金とタイツとが擦れて、穴が開く。舞台で穴の開いたタイツでは困るので、芥川比呂志は、タイツを二枚重ねて穿いた。二枚でも破れるので、三枚重ねることも。
この芥川比呂志のタイツがだんだん噂となって。ある時、三島由紀夫に会ったら。
「君、ハムレットではタイツを十五枚穿いているんだってね。」
それからしばらくして。徳川無声との対談があって。徳川無声は、言った。
「何だそうですな、タイツを、このう、無数にお穿きんなったそうですな。」
この話は、芥川比呂志著の『タイツ』に出ています。
ハムレットが出てくる小説に、『小さなブローチ』があります。

「いとしのハムレット! 貴方の愛撫が私の身体の中に………………」。

まあ、しょせん、物語なのですが。作者は、テッフィ。テッフィは、短篇を得意とした作家。たとえば、『ジェントルマン』という物語も書いています。場所は巴里で、偶然にロシア人同士が出会すところから話がはじまるのですが。この中に。

「ネクタイ、ポシェット、ソックスは同じ色に統一していた。」

ワーリアから見ての「男」の着こなし。「ポシェット」はたぶん、ポケット・ハンカチーフのことなんでしょうね。
ポケット・ハンカチーフはふつう、ネクタイの色とは合わせないことになっています。ポケット・ハンカチーフは、イギリス英語。日本でいう「ポケッチーフ」のこと。ポケッチーフはれっきとした和製英語です。
さて、白麻のハンカチーフを挿して、ハムレットを観に行くとしましょうか。

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