スパイには、なんとなく憧れますよね。ハラハラ、ドキドキの世界。まあ。主にスパイ小説の中での話なんでしょうが。
ほんとうにスパイの経験のあるスパイ小説家。これは、かなり多いみたいですね。『アシェンデン』は今や古典的スパイ小説ですが。著者、サマセット・モオムの、ほとんど実際にあったことのようですね。
ほんとうのスパイからスパイ小説家になった人に、ジョン・ル・カレがいます。ジョン・ル・カレの第一作は、『死者にかかってきた電話』。1961年のこと。1961年というと、デイヴィッド・ジョン・ムア・コーンウエルの本名で、スパイ活動中。まさか本名で書くわけにも。で、「ジョン・ル・カレ」の筆名を使うことになったのでしょう。その物語が真に迫っているのも、当然なんでしょうね。
1950年代のコーンウエルはイートン校の先生で。イートン校を辞めた後はイラストレーターに。鳥の絵を描かせては、天下一品だったという。まあ、なんと多彩なお方なんでしょう。
スパイが出てくる小説に、『二都物語』があります。イギリスの文豪、チャールズ・ディケンズが、1859年に発表した物語。この中に。
「あなた自身、スパイを働いたことありますか?」
「スパイ」の言葉、ずいぶんと古いんですね。『二都物語』には、またこんな描写も。
「紳士は着古しながらも手入れのいい焦げ茶色の上下で、そでに糊のきいたカフスを覗かせ、ポケットの大きな垂れ蓋が風変わりだった。」
「上下」とあるからには、ラウンジ・スーツなんでしょうね。それにしても、1859年頃の英國にも、「スーツ形式」あったのでしょうね。
一度、ファッションのスパイに訊いてみたいものですが。