ジイドは、フランスの作家ですよね。というのは簡単なことであるのですが。
ある人は、「ジッド」だとおっしゃるのです。ジイドは古い言い方だと。あるいは、「ジード」とも。ジードなのかジイドなのか、ジッドなのか。
アンドレ・ポオル・ギョーム・ジイド。綴りは、G id e。結局のところG id e をどう訓むか、という問題なのですが。いったいに人の名前は訓みにくいもので。
「ギョエテとはオレのことかとゲエテ言い」
むかしからそんな戯れ句があるくらいのものであります。英國の文豪、シェイクスピアに至っては百に近い綴りがあるんだとか。
まあ、新しい呼び名としては「ジッド」、古い呼び方が「ジイド」ということなんでしょうね。
そのジイドが出てくる小説に、『ブライヅンヘッドふたたび』があります。イーヴリン・ウォーが、1945年に発表した物語。この中に
「彼はプルーストやジードと一緒に食事をする仲で、コクトーやディアギレフとはもっと親しく付き合っていた。」
イーヴリン・ウォーは、英國の作家。でも、『ブライヅヘッドふたたび』は巴里が背景なので、そんな話が出てくるわけです。同じく『ブライヅヘッドふたたび』の中に。
「薄い鼠色のフランネルの服に白い縮緬のシャツ、シャルヴェ製のネクタイ…………………。」
そんな描写が出てきます。これは、セバスチャンという男の着こなし。また、シャルヴェのネクタイは、郵便切手の柄になっているものだった、とも書かれています。
さて、好みネクタイを結んで、ジイドの本を探しに行くとしましょうか。