パペットは、操り人形のことですね。パペットは操り人形自体のことですから、操り人形劇のことは、パペット・ショウと呼ぶことがあります。
操り人形劇はもちろん、上に人がいて、糸などで文字通り「操る」わけです。でも、人形だけを見ていると、たしかに「生きている」と錯覚させられる迫真があります。
人形劇で人気のあったのが、『ひょっこりひょうたん島』。1960年代のNHKの大人気番組でしたね。原作は、井上ひさしと、山元護久。その頃のNHKは、幸町にあって。井上ひさしは幸町近くの喫茶店で、原稿を書いた。そのために珈琲を星の数ほど飲んだと、随筆に書いています。
井上ひさしは喫茶店で、珈琲を飲みながら原稿を書いて、すぐにNHKに届けて。でも、いつも締切時間ギリギリだったという。ほとんど即席に、「操った」のでしょうか。
イギリスのミステリ作家、エリック・アンブラーは、1906年に倫敦に生まれています。エリック・クリフォード・アンブラーの実家は、パペット・ショウのお家だった。エリックも若い頃は、パペット・ショウの手伝いをしていたんだそうです。
後のエリック・アンブラーが得意だったのが、スパイ物。単なるスパイ物ではなくて、迫真のスパイ物でありましたね。
エリック・アンブラーが、1967年に発表したのが、『ダーティー・ストーリー』。イギリス人のアーサー・シンプソンが主人公。
「人は朝歯を磨いて、新しいシャツを着ると、生まれ変る」
そんな意味の言葉を呟く場面があります。また、『ダーティー・ストーリー』には、こんな描写も出てきます。
「カーキ色の木綿ズボンに貼りつけポケットの大きいのが付いた半袖シャツで………………………」。
これは主人公が、制服を与えられる場面。「貼りつけポケット」は、パッチ・ポケットのことでしょうか。
なにかパッチ・ポケットのある服で、人形劇を見に行きたいものですが………………。