テレヴィジョンとTシャツ

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テレヴィジョンは、TVのことですよね。TVにも歴史があります。それぞれの時代ごとに、人びとを惹きつけた番組があるでしょう。人気番組。
時によって、人によって人気番組も違ってくるのも、当然のことです。
たとえば、『ひょっこりひょうたん島』。ただこのひと言で胸に甘酸っぱい想いがこみあげてくる人もいれば、「?」という人もいるわけです。
『ひょっこりひょうたん島』は、NHKの、人形劇。1964年4月6日、日曜日に第一回が放映されています。最終回が、1969年4月4日、金曜日でありました。ざっと五年の間、愛好者をまさに釘ずけにした人気番組だったのです。
『ひょっこりひょうたん島』は、その独創性において、画期的な人形劇でありました。これはうんと控えめな表現でしょう。
『ひょっこりひょうたん島』の台本を書いたのが、井上ひさしと、山元護久。つまり台本はふたりの合作だったのです。

「その情景、登場人物の台詞やギャグを克明、かつ、微細、絵入り、地図入りでノオトして行くのをいささか呆然と見ていたのである。」

山元護久は、はじめて井上ひさしに会った時の印象をそのように書いています。『魔人伝説マミム・メモ魔人』という随筆の中に。
ここからも窺えるように、井上ひさしは「恐怖のメモ魔」だったようです。
ある時、『ひょっこりひょうたん島』の中で、ミュージカルのことが出てくる場面があって。その時、井上ひさしはどうしたか。
井上ひさしはありとあらゆるミュージカルのレコードを持ってきて、山元護久に言った。

「年代順に、それぞれの物語、歌詞などをノオトに整理しよう」

もちろん、『魔人伝説マミム・メモ魔人』に出ている話。井上ひさしは劇中の「ミュージカル」のひと言に、そんな反応をしたわけです。
その井上ひさしが遺した言葉。

「むずかしいことはをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをゆかいに
ゆかいなことをまじめに
書くこと」

TVが出てくる小説に、『沈める瀧』があります。三島由紀夫が、昭和三十年に発表した物語。

「同じ少女が、再びテレヴィジョンの飾窓の前に立って、彼を待っているかもしれないのである。」

『沈める瀧』には、こんな描写も出てきます。

「立上って、Tシャツとズボンを身につけると…………………。」

これは物語の主人公、城所 昇の様子。小説に描かれた「Tシャツ」としては、比較的はやい例かも知れません。
テレヴィジョンを観るには、Tシャツはお似合いでしょうね。

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