アイルランドとアルスター

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アイルランドは、スコットランドの隣の国ですよね。イングランドの北にある国でもあります。
アイルランドにも、美味しいものがたくさんあるみたいですね。たとえば、アイリッシュ・シチュウだとか。いろんな野菜を、マトンとともにゆっくりと煮込んだ料理であります。

「ホワイト・シチュウとは、すなわちアイリッシュ・シチュウのことで、じゃが藷、人参、そして牛肉が、白ソースd煮込んであるんだが………………」

古川緑波著『ロッパ食談』には、そのように出ています。これは今も銀座にある「煉瓦亭」での様子なんですが。
古川緑波は食通であっただけでなく、物真似が上手だった。

「それが眞に迫つてゐて、をかしくて溜らなかつた。」

谷崎潤一郎は、『古川緑波の夢』という随筆に、そのように書いています。これは大正十三年頃の話。たとえば古川緑波が、谷崎潤一郎の真似をする。それが実にお美事だった、と。
ところで、アイルランドでのアイリッシュ・シチュウには、「ターニップ」t urn ip と呼ばれる蕪の一種を入れることもあるらしい。
幕末の頃。西洋人のズボンをはじめて見た洋服師が、訊いた。裾口の折返しを。と、その異人は答えた。
「ターナップ!」と。
これが職人には「ターニップ」と聞こえた。で、英語のできる先生にお伺いする。「先生、ターニップとは何でございましょうか?」先生答えて、曰く。
「なあに、かぶらのことじゃよ」
これから「かぶら」の洋服言葉がはじまったのであります。
アイルランドが出てくるミステリに、『レストレード警部と三人のホームズ』が。1987年に、M・J・トローが発表した物語。

「シン・フェン党つまりアイルランド独立党のリーダーだよ、レストレード。」

これはエドガーブラッドストリートの発言。エドガーは、ロンドン警視庁の警部という設定になっています。また、『レストレード警部と三人のホームズ』には、こんな描写も。

「鳥打帽とアルスター外套を身につけ、コカインを愛用する背の高い男…………………。」

アルスターは、アイルランドの地方名。十九世紀後半、この地にはじまった旅行用外套なので、「アルスター・コート」の名前があります。
ダブル前で、背バンド付きのオーヴァー・コート。トレンチ・コートなども、アルスター・コートの影響下に生まれたものです。
アイルランドを旅するには、アルスター・コート、最適でありましょうね。

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