ショールとジャカール

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ショールは、肩掛けのことですよね。
ショールはスカーフにも似ています。でも、スカーフとは異なるところもあるようです。
ショールよりスカーフのほうが自由度が高い。そんな印象があります。第一、スカーフが男女兼用であるのに対して、ショールはやはり女性向きといえるでしょう。
ショールとスカーフ。どちらが早く日本に定着したのか。明治期に「ショール」がすでに用いられていることを想えば、物の順序としては、ショールがはやいと思われます。

「………毛糸細工のシオールを渡す。之はお鉄の所有品なるを。今日は寒いからとて時借をしたものと知るべし。」

明治二十五年に、尾崎紅葉が発表した『二人女房』に、そのように出ています。紅葉は、
「シオール」と書いていますが、たぶんショールのことかと思われます。
この文章に出てくる「時借」もまた、明治語なのでしょうか。「ほんの少しの間だけ借りる」これを時借と言ったんだそうですね。
ショールの話が出てくる随筆に、『インド染織雑感』があります。著書は、山辺知行。
山辺知行は、優れた染織研究家だった人物。

「………カシミアのショールなどーーを小さく切って別のものにしたり。」

これはインドでの見聞記。インド、デリーか東北に80kほど離れたところに、Nという町があって。山辺知行は、「N」としか書いてありませんので。
このNは、昔からショールの補修で有名な所。王侯貴族がカシミア・ショールの修理に出してほど。
Nでショールを補修してもらうと。虫眼鏡で探しても、どこを直したのかまったくわからないという。日本でいうかけはぎの要領なのでしょう。
山辺知行は、同じ随筆の中で、ジャカードについても語っています。
インドに、「ハイデラバート」という町があって、ここで特別のジャカードを見せてくれたそうです。

「………文様を織り出すために織手の外にもう一人経糸を上げる人間がいて……………………。」

要するにジャカード以前のジャカードを見せてもらった話なのです。
これを、「空引機」と言ったものです。
1801年に、フランスはリヨンの、ジャカールが機械を発明する以前は、「空引機」だったのです。
それはたいてい少年の仕事で。その少年を哀れに思ったジャカールの考案だったです。
「ジャカール」 J acquard は発明者名前。
フランス語のジャカールから英語の「ジャカード」が生まれたわけですね。
どなたかジャカールのチョッキを仕立てて頂けませんでしょうか。

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