カルタは、加留多のことですよね。時に、骨牌とも書くんだそうですが。
カルタは、ポルトガル語の「カルタ」c art a から出ているんだとか。もともとは、「札」の意味であったという。
日本には、天正年間に、堺に伝えられたのが、はじまりではないかと、考えられているようです。天正年間は、十六世紀末のこと。カルタの歴史もまた古いんですね。
「今世に流布されたカルタは中華にては骨牌といひ、これは大かた唐にては象牙の類にてする故なり…………………。」
古書『遠碧軒記』には、そのように出ています。むかしの中國には、象牙製の骨牌があったのでしょうか。
其角の句に。
夏草や
臑でかるたを
そろへけり
というのがあります。芭蕉の高弟でもあった、寶井其角もまた、かるた遊びをしたのでしょう。
いや、今に伝わる江戸かるたの文句は、其角の作という説さえあります。
犬も歩けば棒にあたる
論より証拠
花より団子
寶井其角は、宝永四年二月三十日に世を去っています。あの「いろはかるた」にも、ざっと三百年以上の歴史があるのでしょうね。
カルタが出てくる小説に、『ウイリアム・ウィルソン』があります。
エドガア・アラン・ポオが、1839年に発表した物語。1839年
『ジェントルマン・マガジン』10月号に掲載された短篇。
「こうしておけば、鴨の方では普通に縦にカルタを切るから……………………。」
これは、イカサマ賭博の場面なんですが。
また、『ウイリアム・ウィルソン』には、こんな描写も出てきます。
「これもちょうどその朝僕が着ていたのと同じ、当時流行型の白カシミアのモーニングを着た青年の姿に気がついた。」
ここに「僕」とあるのが、ウイリアム・ウィルソンなのですね。ということは、ウイリアム・ウィルソンも、純白の、カシミアの、モーニング・コートを着ているわけですね。
いいなあ、ホワイトの、カシミアの、モーニング・コート。ただし、『ウイリアム・ウィルソン』の背景は、その時代の倫敦に置かれています。
1830年代の倫敦で、白いカシミアのモーニング・コートが流行だったのは、間違いないでしょう。