麗人とレザー・パンツ

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麗人は、お美しい女のお方ですよね。
佳人とも言います。あるいはまた譬喩的に、「小町」とも。「………小町」というではありませんか。
昔むかし、小野小町という歌人がいらっしゃいまして。この方がたいそう美しい女だったので、今に「………小町」の言い方が遺っているのですね。
岸田劉生の名画に、『麗子像』があります。あの「麗子」なども、より「麗しく」を願ってつけられたお名前なんでしょうね。
戦前の映画界で、麗人と謳われた女優に、岡田嘉子がいます。岡田嘉子と書いて、「おかだ・よしこ」と訓むのですが。典型的な美人女優でありました。
岡田嘉子はもともと新劇女優だった人物。その後に、映画女優に。
大正末期、『大地は微笑む』にも出演。この『大地は微笑む』は、各映画社での共作になったのですが。岡田嘉子の「日活」版がもっとも好評だったという。

昭和十三年一月三日。岡田嘉子は樺太国境を越えたことでも、有名になったものです。1938年のことですから、今からざっと85年ほど前の話ではありますが。まあ、それもこれも、時代のせいなのでしょうが。

「東京を出るとき美津濃スポーツ店で買った茶皮のスキーズボンに、セーターを重ね、ファーコートを着ていても寒くて、用意の白金懐炉をポケットから離せません。」

岡田嘉子著『悔いなき命を』の中に、そのように出ています。1938年1月3日。岡田嘉子は、レザー・パンツを穿いていたのですね。
「白金懐炉」は、むかしよく用いられたベンジンを燃料とする懐炉のこと。まあ、それはともかく、レザー・パンツは風通さないので、暖かいものです。
どなたか美しいレザー・パンツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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