砂金は、砂状の金のことですよね。砂金をたくさん集めて固めると、金になるわけです。つまり、ゴールドに。
昔は、「ゴールド・ラッシュ」というのがあったんだそうですね。
1848年にサンフランシスコで砂金が発見されたのは、有名な話。1849年に砂金を目指してサンフランシスコを目指した男たちを、「フォーティーナイナー」。
サンフランシスコが今のように都会に発展するきっかけも、砂金だったのです。また、リヴァイ・ストラウスとも無関係ではありません。
砂金採りは、薄く、丸い、鍋のような道具を使ったらしい。川に入って、鍋で砂を掬う。この砂の中に砂金がまぎれていることもあったんだそうですが。
「………守袋の中に黄金の像でもあれば……………。」
坪内逍遥が、明治十九年に発表した『當世書生氣質』の一節に、そんな文章が出てきます。
坪内逍遥は、「黄金」と書いて「ゴールド」のルビを振っているのですが。その時代には、守袋の中にゴールドの仏像などを入れておくことがあったのでしょうか。
「………ポケットから金の時計を出して見て……………。」
明治四十年に、三島霜川が書いた『解剖室』にそのような描写があります。これは、医者の、「風早博士」の様子として。
三島霜川は、「金」と書いて「ゴールド」のルビを添えています。
砂金が出てくる小説に、『ハサウェイ・ジョーンズの恋』があります。
2002年に、カティア・ベーレンスが発表した物語。ただし時代背景は、ゴールドラッシュ期のアメリカに置かれているのですが。
「ふたり砂金とりに精をだしたが、砂金はさっぱり見つからず、けっきょく荷物を運ぶラバ三頭を買った。」
ここでの「ふたり」とは、ハサウェイ少年と、そのお父さんのこと。
『ハサウェイ・ジョーンズの恋』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。
「ひと言ひと言から、オランダ木靴の音が鳴りひびくみたいだ。」
これは商店主の、ダッチ・ヘンリーの話し方について。要するに、オランダ訛りがあると言っているわけですね。
ここでの「オランダ木靴」は、たぶんサボのことかと思われます。
もっとも「サボ」s ab ot はフランスふうの言い方で、オランダでは、「クロンプ」kl omp と呼ばれるんだそうですが。
柳の木などをくり抜いて仕上げるので、木靴。木靴の特徴は水場にも強いこと。昔の料理人がサボを愛用したのも、そのせいでしょう。
どなたか現代にふさわしいサボを作って頂けませんでしょうか。