スペイドとスパッツ

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スペイドは、スペードのことですよね。sp ad e と書いて「スペイド」と訓みます。
トランプ遊びには、不可欠の手札でしょう。
「ハート」があって、「クローバー」があって、「「ダイヤ」があって、「スペイド」があるわけですから。これをぜんぶ合わせて、52枚。このひと揃いのことを、「スーツ」と呼ぶわけですね。
トランプのスペイドは、スペイン語の「エスパーダ」 esp ad a から来ているとの説があります。「剣」の意味。これがたまたま英語の「鋤」に似ているので、「鋤」のマークとも考えられてんだとか。英語の「スペイド」には、「鋤」の意味もあるらしいので。

スペイドが出てくる短篇に、『誘惑』があります。芥川龍之介が、昭和二年に発表した物語。

「テエブルのひだに並んでゐるのはスペイドの一や畫札ばかり。」

これは幻想的な物語になっています。

「山羊のやうに髯を伸ばした、目の鋭い紅毛人の船長である。」

そんな説明もあって、異国人がカード遊んをしている場面が出てくるのです。

スペイドはまた、人の名前でもありまして。たとえば、サミュエル・スペイド。略して、
サム・スペイドとも。ハードボイルド物の元祖とされる、ダシール・ハメットが生み出した探偵の名前ですね。ダシール・ハメットは一時期、サンフランシスコで探偵として働いていたことがあります。つまりサム・スペイドのモデルはハメット自身と考えることができるでしょう。
ハメットについて語ることはあまりにも多いのですが。ご本人自身、とても洒落者だったことです。少なくとも歴代のハードボイルド作家の中では、間違いなく第一位に輝く洒落者でありました。
サム・スペイドが登場する小説に、『スペイドという男』があります。1932年に、
ダシール・ハメットが発表した物語。この中に。

「とっても立派な身なりの人でしたね。ステッキ、手袋、スパッツまでつけていて……………。」

これはある紳士を見ての、ボーイの説明。
「スパッツ」sp ats は「短脚絆」のこと。1930年代までは洒落者の象徴だったものです。
十九世紀のスパッツは、泥除け。やがて防寒用となって、さらにおしゃれの小道具となったもです。多くは淡いグレイのボックス・クロスを用いたものです。
どなたか1930年代の、スパッツを再現して頂けませんでしょうか。

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