プライドとファスタネラ

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プライドは、「誇り」のことですよね。もう少し偉そうに申しますと、「矜持」でしょうか。
人間にとって「誇り」はまったくないのも困りますが。さりとて「誇り」がありすぎるのも困ったものであります。料理における塩加減と同じように、かすかに感じられるくらいの「誇り」がよろしいのでしょうか。「プライド」もまた、なかなかに難しいものです。

「プライド」と題につく小説に、『自負と偏見』があります。英国の作家、ジェイン・オースティンが、1813年に発表した長篇。今からざっと二百年ほど前の物語ということになります。ジェイン・オースティン、三十八歳のこと。
原題は、『Pr id e and Pr ej ud ic e』。「プレジューディス」には、「偏見」の意味があるんだとか。そこで日本語訳は『自負と偏見』だとか、『高慢と偏見』などと訳されてきたのでしょう。

「明るい顔、くつろいで、気取りのない態度……………。」

『自負と偏見』では、「ミスタ・ビングリーの様子について、そのように描かれています。
プライドが出てくる小説に、『人間的要素』があります。1930年に、モオムが発表した短篇。

「………彼女は、先祖伝来のプライドが体じゆうを駆けめぐってでもいるように、体をシャンとしていたようだったが、そのうちに笑いだした。」

これは「ベティ」という女性が、ある男から求婚された時の様子について。

また、モオムの『人間的要素』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「………白いズックのズボンをはいた年配の執事と、自国のファスタネラをはいた従僕が二人立っているのにぼんやりと気がついていた。」

これは、「ベティ家」の召使いの服装として。
「ファスタネラ」 f o ut an ell a は、男のスカート。ギリシアの民族衣裳。多くは白いプリーツ・スカート。「ファスタネーラ」とも。
どなたか日本人でも穿ける「ファスタネラ」を作って頂けませんでしょうか。

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