インドとイヴニング

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インドは広大な国ですよね。そしてまた、繊維の大国でもあります。
たとえば、「マドラス」。マドラスはその昔、インドのマドラス港から船で送られたので、その名前があります。必ずしもマドラス近郊で織られたわけではありません。
その意味では、パナマ・ハットとパナマ港の関係に似ているかも知れませんね。
日本語の「キャラコ」も以前の都市、「カリカット」から出たものです。
インドはまた、カレーを生んだ国でもあります。英語では、「カリイ」curry でしょうか。これはインド、タミール語の「カリ」kari が語源とのことです。その意味は「ソース」のことであったという。
カレーには、ターメリックをはじめ、カルダモン、コリアンダー、アサフェティダなど数多くの薬草が用いられます。健康によい食事という印象があるのも、当然でしょう。

「アングロ・インディアンの料理で特に人気のある料理は、マドラスで考案されたと言われている。」

リジー・コリンガム著『インド カレー伝』には、そのように出ています。
このマドラス・カレーをイギリス人が工夫して英国に持ち帰ったのが、今のカレーの源なのでしょう。マドラス・カレーはまた、チキン・カレーが多いのも特徴のひとつであるらしい。
インドが出てくる読物に、松田道弘著『奇術のたのしみ』があります。

「インドのロープ奇術というのは、術者の投げたロープが、柱のように空中に浮かんで少年がその柱をのぼっているうちにすがたがみえなくなってしまうという幻想的なものです。」

この「空中浮遊」は、世界の多くの奇術師が試みた技でもあります。
そのひとりに、英国人奇術師、ロベール・ウーダンがいます。1840年代のことです。
そしてまた、ロベール・ウーダンは、当時の奇術のスタイルを一変させたお方でもあったのです。
十九世紀はじめの奇術師はまるで中世の魔術師でもあるかのような衣裳だったという。その衣裳をも変えたのが、ロベール・ウーダンでありました。
燕尾服に、シルク・ハット、片眼鏡の装いで舞台に登場したのです。
1845年7月のこと。今も奇術師に燕尾服は欠かせません。この燕尾服の伝統は、ロベール・ウーダンにはじまっているのです。
燕尾服は、日本語。イギリスではふつう「イヴニング・ドレス」evening dress  と呼ばれます。
どなたか1840年代のイヴニングを再現して頂けませんでしょうか。

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