アメリカーノとアタッシェ・ケース

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アメリカーノは、飲物の名前ですよね。もともとはイタリア語なんだそうです。もちろん、「アメリカ人の」の意味。いかにもアメリカ人が好きそうな飲物という意味なんでしょうか。でも、アメリカーノにはふたつの意味があるとのこと。
ひとつはエスプレッソの飲み方。エスプレッソを湯で割ったものを、「アメリカーノ」。これも分かるような気がします。
そして、もうひとつは、カクテル。イタリアン・ヴェルモットをカンパリ・ソーダ を加えると、「アメリカーノ」。

アメリカーノが出てくる小説に、『アシェンデン』があります。1928年に、イギリスの作家、サマセット・モオムが発表した創作。
ただしその内容は、1910年代にモオム自身が体験したことに基づいています。

「………日陰の涼しい席でアメリカーノを飲みながら………」

これはナポリでのモオムの様子。ただし小説の中では、「アシェンデン」の名前が与えられているのですが。この場合には、アシェンデン=モオムと考えて間違いありません。
ナポリ、モオム、アメリカーノ。この場合はエスプレッソでしょうか、カクテルでしょうか。たぶん、カクテルの「アメリカーノ」だったでしょう。
モオムの『アシェンデン』を読んでおりますと、こんな文章も出てきます。

「………資金は無制限に使えるのだ。(巨額の為替手形を腹帯に入れて肌身離さず持っていたが、額が大きすぎて、そのことを思い出すと足がよろけそうになった。)

モオム(アシェンデン)への使命は、ロシアでの革命を阻止することにあったという。そのための国家予算の一部を託されているわけですから、数十億単位だったのでしょう。
それはさて置き。『アシェンデン』は、おしゃれの勉強にもなります。

「アシェンデンは帽子を被ると、アタッシェケースを手に取った。」

この「アタッシェケース」は物語中、何度か出てきます。
モオムはこの1910年代中の密航に、どうもアタッシェ・ケースを携えていたようです。アタッシェ
・ケースは1910年代からすでに外交官などは使っていたようですね。
日本語訳者、中島賢二、岡田久雄は、正しく「アタッシェケース」と訳しています。時に、「アタッシュケース 」と誤訳されることが多いのですが。
どなたか1910年代のアタッシェ・ケースを再現して頂けませんでしょうか。

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