巴里は、パリスのことですよね。Paris と書いて「パリス」と訓むわけです。英語では。でも、日本ではフランスふうに「パリ」ということが多いようですが。
アメリカのコール・ポーターの作曲した歌に、『アイ・ラヴ・パリス』があります。
🎶 アイ・ラヴ・パリス・イン・ザ・スプリング・タイム………
そんなふうにはじまって。結局はいつの季節も全部好き、というのがオチになっています。
巴里からさらに旅に出た日本人に、斎藤茂吉がいます。
「西暦一九二四年十二月二日の朝、巴里の北の停車場から出発した。」
斎藤茂吉の紀行文『オウヴェル行』に、そのように出ています。ゴッホのゆかりの地を訪ねるために。
巴里と題につく映画に、『巴里の屋根の下』があります。1930年のフランス映画。ルネ・クレールの監督。
『巴里の屋根の下』を日本で観たお方に、寺田寅彦がいます。
「………大勝館で「巴里の屋根の下」と「愉快な武士道」とを見る。」
昭和六年の『日記』に、そのように出ています。六月七日(日曜日)のところに。
ここにはまた、延々と映画の見所などにもふれているのですが。
同じ年の『日記』に、こんなことも書いてあります。
「昼三越にて山口君へ、餞別にハンケチ一ダース(5y)を求め届けさせる。」
三月三日(火曜日)のところに、そのように書いてあります。
お別れの挨拶なので、ハンケチがふさわしいのでしょう。たぶん、白麻。5yは、五円のことでしょうか。寺田寅彦の時代には、ダース単位で買うのが常識だったそうですね。
どなたかダース単位で買いたくなるような白麻のハンケチを作って頂けませんでしょうか。