永六輔と燕尾服

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永六輔は、日本の作詞家ですよね。作詞家の一方で、長くラジオ出演をもこなしていました。
永六輔の代表作は、『上を向いて歩こう』でしょうか。
1961年のヒット曲。

🎶 上を向いて 歩こう
涙がこぼれないように

作曲は、中村八大。歌手は、坂本 九。「六 八 九トリオ」などと言われたものです。
町に『上を向いて歩こう』が流れに流れていたころ、坂本 九は近所の銭湯に。どうもそれが女湯に伝わったらしくて。🎶 上を向いて歩こう………。
大合唱が起こったそうですね。
永六輔の『上を向いて歌おう』に出ている話なのですが。聞き役は友人の、矢崎泰久。
永六輔は、坂本 九の『上を向いて歩こう』は、中村八大のリサイクル当日にはじめて聴いて、びっくり。
🎶 上を向いて歩こう
と作詞したはずなのに。坂本 九は。

🎶 ウヘッフォムフィテ………

そんなふうに歌ったから。
『上を向いて歩こう』の歌手に、新人の坂本 九を起用したのは、中村八大。『上を向いて歩こう』のヒットは、中村八大のお手柄が少なくなかったのでしょう。
そもそも、中村八大と永六輔との出会いは、まったくの偶然から。
時は、1959年。場所は有楽町、「日劇」前。ある日、永六輔が日劇の前に立っていると、中村八大が忙しいそうに出てきて、永六輔に声をかけてきた。
「君は作詞に興味あるかい?」
まるで経験のない永六輔は、「はい」。
実は早稲田の先輩の二つ上で、断れなくて。
そこから直ちに三田の高級マンションに拉致されて。中村八大が言う。
「明日の朝までに、十曲分の歌詞を作れ」。
永六輔は、徹夜で十曲の歌詞を仕上げたという。その中のひとつが、『黒い花びら』。

🎶 黒い花びら 静かに散った
あの人は帰らぬ 遠い夢

これを歌ったのが、水原 弘。なぜか、空前の大ヒットになったのであります。
永六輔自身は、イントロのテナーサックスの効果が良かったと、分析しているのですが。このテナーサックスを吹いたのが、松本英彦だったのですが。
この松本英彦の🎶バババのすぐ後に、水原 弘の声で。
🎶 黒い花びら
と、続くんですね。

永六輔と、なにかとご縁があったのが、野坂昭如。野坂昭如の作家活動以前、「三木鶏郎音楽事務所」での同僚だったので。
永六輔は野坂昭如のことを、「羞じらいの人」と言っています。たとえば、人前でしゃべるにも一杯の酒が欲しくなる人だ、と。

1976年に、野坂昭如は「サントリー・ゴールド900」の宣伝に出たことがあります。この時の衣裳が、燕尾服だったのですね。
黒眼鏡に燕尾服は最初で最後ではないでしょうか。
燕尾服は、「ホワイト・タイ」。ホワイト・タイに絶対に欠かせないのが、ホワイト・グラヴ。たとえば、キッドの白手袋。
十九世紀の紳士は、手の素肌を見せない習慣だったので。

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