リーダーとリンクス

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

リーダーは、先導者のことですよね。指導者であり、統率者のことであります。
物事について率先する人なので、リーダーleader なのでしょう。リーダーでこんな話を聞いたことがあります。
野生の鹿について。鹿はいつも何頭かの群で行動するんだそうです。大人の鹿もいれば子供の鹿もいるので。鹿の群が怖いのは、狩人。狩人は馬に乗って、鉄砲を持っているから。
鹿の群は狩人の気配に気づくと、逃げる。逃げて逃げて。でも、いよいよ追いつめられたなと悟ると、リーダーの様子がおかしくなってくる。まるで脚でも折ったかのように、蹲る。当然、狩人は側に寄ってくる。この間に仲間の若い鹿は遠くに逃げているのですね。
リーダーが犠牲になって若い鹿を助けるわけであります。

リーダーが出てくる随筆に、『山』があります。小林秀雄が、昭和十一年に発表した物語。小林秀雄が大正時代のはじめに、はじめて山に登った経験が中心になっている随筆です。

「リイダアは絶えず仔細らしく地図を按じているのだが」

友人三人での登山で、そのうちの一人がリーダーになって。この時には雲取山を目指しています。弁当と油紙とを持って。御岳山の中腹で、油紙にくるまって野宿したと、書いてあります。
結局、道に迷うのですが。岩魚釣りに来た地元民に助けられて。

「村の人に御馳走になった岩魚の味噌汁は、気が遠くなる程うまかった。」

小林秀雄は『山』の中で、そうも書いています。

「歌っている私たちの間を、リーダーが廻って歩く。

向田邦子の随筆『霊長類ヒト科動物図鑑』に、そのような一節が出てきます。
若い頃の向田邦子は「早稲田大学」のコーラス部で、歌っていたことがあるんだとか。その時のコーラスのリーダーについて。もちろん、早稲田の学生なんですが。主に歌っていたのは、シューマンの『流浪の民』。
駅を高田馬場で降りて、早稲田まで歩く途中に、烏賊の丸焼き屋があって。食べたいなあと思いつつ我慢して。
向田邦子は大人になってからも、シューマンの『流浪の民』を耳にすると、烏賊の丸焼きの匂いがよみがえってくる。そんなふうにも書いています。

「リンクスである。ベージュの地に斑点のある毛足の長いもので、日本語でいうと大山猫である。

『霊長類ヒト科動物図鑑』には、そんな文章も出てきます。
記者から、「毛皮は何をお持ちですから?」と問われて。向田邦子は毛皮のコートは持っていない。でも、襟に毛皮をあしらったコートなら。それが「リンクス」lynxだったと。
リンクスは、オオヤマネコの毛皮。絹のような感触の毛皮。
どなたかリンクスでブルゾンを仕立てて頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone