トランペットは、楽器のひとつですよね。広い意味でのラッパ。金管楽器。
ひと口にトランペットと言いましても、いろんな種類があるんだそうですね。
トランペットの原型は古代エジプトの時代からあったという。
1922年に英国の考古学者、ハワード・カーターが、ツタンカーメンの墓を発掘した時、二本のトランペットが見つかっています。長さ、約50センチ、まっすぐな直線のラッパだったそうですが。
おそらくはなにかの儀式での合図に用いられていたのではないか、と考えられているとのこと。
古代ロオマにも、トランペットが。それは「ブッキーナ」の名前で呼ばれる円形のラッパだったとのこと。
この円形のラッパを身体に担ぐようにして吹き鳴らしていたのでしょう。
ブッキーナの音ははるか遠くまで音が届いたので、ロオマ軍の戦上手の、ひとつの道具でもあったのでしょう。
1827年になって、フランスのラバイエが、ピストン・バルブを考案。このピストン・バルブの登場によって、音階を自由に変えることができるようになったわけです。
1859年にはやはりフランスの「ペリネ」が、今日と同じような三本ピストンのトランペットを完成させています。
「らつぱ・ちゃるめら、万の物の音迄もゆたかに、目病の地蔵も、宵からは寝られまじ。」
井原西鶴が、1684年の四月に発表した『好色二代男』に、そんな一節が出てきます。
江戸時代にもトランペットに似たなにかの楽器があったのでしょうか。
ここに「ちゃるめら」とあるのは、ちゃるめらの音にも似ていたのかも知れませんが。
「そしてついに、ジューベンは私の恋人を吹きならして見せた。〝夜空のトランペット〝とプログラムには明記されていた。くるまのなかで、はじめて耳にして以来、三年近くたっていた。私は曲に向かってこんにちはといった。」
1983年に作家の増田れい子は、随筆集『雪想い』の中に、そのように書いています。
「夜空のトランペット」と題して、1980年頃、タクシーのラジオで偶然、トランペットの曲を聴いて、心に遺った。でも、その曲名も知らなくて、いつともなく遠くになってしまって。
ところが、フランスのトランペッター、ジューバンの演奏会で再び出会った。そんな内容になっています。
トランペットが出てくる小説に、『乱れた大気』があります。1951年に、アーウイン・ショオが発表した長篇。
「音楽はゆっくり高くなる。指揮者はポコーニーの指示を越えてトランペットを響かせた。」
これはスタジオで録音している場面。「ポコーニー」は作曲家という設定になっています。
また、『乱れた大気』には、こんな描写も出てきます。
「ポコーニーが後ろでトレンチコートを着こむところだった。」
ポコーニーは帰り支度をしているので。この物語の背景は、1940年代のことかと思われます。
アメリカだけでなく、1940年代には、トレンチ・コオトが流行したものです。
どなたか1940年代の、着丈の長いトレンチ・コオトを再現して頂けませんでしょうか。