サスペンスはよくドラマなんかにもありますよね。サスペンス・ドラマとか。
ちょっと怖い映画なんかも。怖いけど観たい、観たいけど怖い。ハラハラ、ドキドキする物語のこと。
サスペンスは、「吊り下げる」のサスペンドと関係があるみたいですね。吊り下げられて中ぶらりんだから、ハラハラ、ドキドキ。もちろん、あのサスペンダーとも無関係ではありません。
サスペンス映画で印象に遺るものに、『暗くなるまで待って』が。かのオードリー・ヘップバーンが好演した映画。ある夜、突然、侵入者があらわれて。手に汗握るとは、このことでしょうね。
『暗くなるまで待って』は、テレンス・ヤングの監督。このことによって大きな変化があってそうです。オードリー・ヘップバーンはイギリス式の生活習慣を好んだ人で。毎日、夕方の四時にはティー・タイムを設けてもらいたかった。
『暗くなるまで待って』以前の監督にもずっとそのことを訴えた。でも、「ティー・タイム」の意味を理解してはもらえなかった。ところが『暗くなるまで待って』は、テレンス・ヤング。イギリス人。「もちろん、ティー・タイムは必要……」と言ってくれたのです。
もし『暗くなるまで待って』のオードリーの演技が光っていたなら、その何割かはティー・タイムのおかげかも。オードリーは大きなポットとティー・コゼーを用意していて。湯を注いでから10分まで待って、紅茶を淹れた。映画は『暗くなるまで待って』。紅茶は『葉が開くまで待って』というわけだったのでしょうか。
『暗くなるまで待って』は、1967年の公開。1967年、フランスで生まれた作家が、マリー・ンディアイ。ちょっと変わった名前ですが、Marie NDiaye と綴ります。マリー・ンディアイが2001年に発表したのが、『ロジー・カルプ』。この中に。
「しみひとつない真っ白なポロシャツに身を包んで控え目なのに……」
これは女主人公、ロジー・カルプを空港に迎えてくれた、ラグランという青年の着こなし。このラグランの「純白のポロシャツ」は、繰り返し何度も出てきます。
たしかに純白を純白のままに着るのは難しいものですよね。
さて、純白のポロシャツで。サスペンス映画を観に行くとしましょうか。