シンプソンとシュミーズ

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シンプソンは、わりあいと多い名前ですよね。たとえば倫敦に、「シンプソン」という洋品店があります。正しくは、「ダックス・シンプソン」という名前なんだそうですが。
1894年に、シメノン・シンプソンが、サヴィル・ロウにテイラーを開いた。それがそもそものはじまりなんだとか。
シメノンの跡を継いだのが、アレグザンダー・シンプソンで。アレグザンダーは、今でいうベルトレスのトラウザーズを売り出して。この商品名が、「DAKS」 。ダディズ・スラックスの頭文字だったという。この新製品が好評だったので、「ダックス・シンプソン」になったんだそうですね。
シンプソンで、女でということになりますと、シンプソン夫人でしょうか。アメリカ人女性で、英國王と結婚した人物。一時期、ダッチェス・ウインザーでもありました。
このシンプソン夫人がたいへんな美食家でありまして。

「W inds or 公が食道樂の愛妻 S ims on を携えて中食をとつてから、大々的に的に宣傳せられ、歐洲でも著名なレストランの一つになつてしまつた。」

1934年3月2日。瀧澤敬一は、『ピラミッドの闇を行く』と題する随筆の中に、このように書いています。瀧澤敬一は実際に、この年の1月22日に「ピラミッド」で食事をしているのですが。
1977年に、湯木貞一とふたり、「ピラミッド」で食事したのが、辻 静雄。

「世界一といわれるレストラン・ピラミッドには実に六十年間ソムリエをしている、現役最高齢のムッシュー・ルイ・トマジがいた。あけようとしているのは、なんと1959年のシャンパン、ドン・ペリ二ョン、私がこれからキャヴィアをご馳走になろうとしているときのこと。」

辻 静雄著 『ヨーロッパ一等旅行』には、そのように書いています。
ここで、もう一度、瀧澤敬一の随筆に戻りましょう。

「乙は握りが金むくのステッキを振り廻し、涼しくてもやたらに上着をぬいで絹のワイシャツを見せびらかした。」

1942年5月12日に書いた『重役讀本をよみ損ふ』の随筆に、そのように出ています。これは以前の、フランス勤務の日本人同僚について。
フランスなら、「シュミーズ」 chem is e でしょうか。一度でいいから、ソワのシュミーズ、着てみたいものではありますが。

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