レコードとレイバン

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レコードは、記録のことですよね。ただし、何に記録するかによって、意味が変ってくるのですが。
たとえば、樹脂の円盤に音を閉じこめたなら、「音楽」の記録になります。もちろん、レコード・プレイヤーです。
むかしは電気さえも使わずに、手回しで、溝に針を落として、「ラッパ」で音を大きくして聴いたこともあるらしい、鉄製のレコード針がなくなると、竹を細く尖らせて、レコード針の代りにしたという。
1945年。勤労奉仕で、埼玉県にいたのが、武満 徹。武満 徹はこの勤労奉仕先の埼玉で、シャンソンを聴く。武満の同僚が、夜中、隠れて、レコードを聴いていたので。
そのシャンソンは、リシュエンヌ・ボワイエの、『パルレ・モア・ダムウル』。だったという。『聞かせてよ愛の言葉』。
若き武満 徹は、このシャンソンを聴いて、思った。

「戦争が終ったら、音楽家になろう!」

ビング・クロスビーの『いつか君の日に』を聴いて、歌手になったのが、フランク・シナトラ。1930年代に特徴的だった「クルーナー」に感動して。
「クルーナー」は、囁くように、包みこむような、甘い歌い方のこと。
たとえば、『ウエン・ユア・スマイリング』なども、クルーナー唱法によるもの。『君微笑めば』は、1928年のヒット曲。はじめルイ・アームストロングが歌って、拍手喝采。やがて、シナトラをはじめ、多くの歌手が愛唱して、今やスタンダード・ナンバーになっています。
シナトラが実名で出てくるミステリに、『愛しき女に最後の一杯を』があります。ジョン・サンドロリー二が、2013年に発表した物語。

「シナトラ、そんな口のききかたをするな。言っておくが、ぼくは朝の五時までカリフォルニアの空にいた。」

これは物語の主人公、ジョー・ブオーノの電話での科白。ジョーは、パイロットで、フランク・シナトラの親友という設定になっています。
また、『愛しき女に最後の一杯を』には、こんな描写も。

そうでもすれば人に見とがめられないとでも思っているのか、そろってレイバンのウェイファーラーをかけている。」

ジョーが出会った二人組みの男の様子。
「レイバン」R ay B an は、アメリカの、サングラスの銘柄。会社「アメリカン・オプティカル」は、1853年のはじまり。防眩眼鏡として、特許を得たのは、1937年5月7日のことです。
なにかレイバンをかけて、古いレコードを探しに行きましょうか。

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