ターバンとタフタ

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ターバンは、頭に巻くものですよね。
t urb an と書いて、「ターバン」と訓みます。英語としての「ターバン」は、1561年頃から用いられているんだとか。もともとはペルシア語の「ダルバンド」d ulb and から出ているらしい。その意味は「チューリップ」だったという。なるほど、そういえばそんな形でもありますよね。
ターバンが出てくる小説に、『世相』があります。昭和二十一年に、織田作之助が発表した物語。

「芸者上りの彼女は純白のドレスの胸にピンクの薔薇をつけて、頭には真紅のターバン、真黒の手袋をはめている許りか……………。」

これは物語の主人公が、大阪、心斎橋の喫茶店で、バアのマダムと待ち合わせする場面での描写として。

織田作之助。たしかにその通りなのですが。ほんとうは、「織田作」と呼びたいところがあります。まあ、それだけ人々に親しまれた作家でもあったのでしょう。
「織田作」に興味を持ったのが、川島雄三。川島雄三は、織田作の小説を読んで、感銘。さっそく、映画の脚本を頼んでいます。昭和十八年のこと。
川島雄三は大阪に行き、ミナミの河豚屋で、織田作に会っています。これがふたりの初見参。川島雄三、珍しく、意気投合。

「この破滅型作家とのつき合いで、こちらも多少影響を受けてしまった。」

後に、川島雄三はそんなふう語ったことがあるそうです。
1944年の映画『還って来た男』は、川島雄三監督。織田作の脚本であります。
織田作はシェーファーの万年筆、「満寿屋」の原稿用紙。それさえあれば、いつでも、どこでも原稿が書けたという。
織田作が若い頃、夢中になって読んだのが、フランス文学。ことにスタンダールが好きだったそうです。

スタンダールが、1837年に発表した『チェンチ一族』を読んでおりますと。

「………ベアトリーチェの首につまらぬ布をちょっとばかりからませ、頭にターバンをかぶせているが……………。」

ベアトリーチェはこれから断頭台に向うところ。
また、『チェンチ一族』には、こんな描写も出てきます。

「ベアトリーチェのヴェールは服と同様、青のタフタ織だった。」

タフタ t aff et as は、「琥珀織」のこと。ふつうは絹の畝織地ですが、「モアレ・タフタ」といって、波目模様のシルク地もあります。たとえば、ネクタイなどに用いられることもあります。
どなたかタフタのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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