ウィンドウとウォーキング・スーツ

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ウィンドウは、「窓」ことですよね。window
と書いて、「ウインドウ」と訓みます。「ウ」にはじまって「ウ」に終わる言葉。また、「w」にはじまって「w」に終わる言葉でもあります。
このウィンドウもおしゃれと無関係ではありません。たとえば古典柄のひとつに、「ウィンドウペイン」があります。いわゆる「窓枠格子」のことですね。
そしておしゃれのはじまりも、ショオ・ウィンドウから。「ウィンドウ・ショッピング」というではありませんか。
ショオ・ウィンドウが立派なのは、まず第一にパリの「エルメス」でしょう。見るたびにうっとりさせられてしまいます。
エルメスはパリ右岸ですが、左岸には「アルニス」が。昔むかし「アルニス」で気がついたこと。毎日、ディスプレイが変わっているのです。見事な、素晴らしい配色によって。「あのデコレーションはどなたかがおやりになっているのですか?」私はほんの軽い気持で、ジャン・グランベエルにお訊きしたのですが。その答は。
「私!」
毎日、店主のジャンが自分で飾り付けをやっていたのですね。まあ、あれだけのセンスを持っている人はなかなかいませんからね。

「商店のウィンドウは美しく飾られるようになり、道行く人々の目を楽しませることとなる。」

小林章夫著『ロンドン都市物語』に、そのように書いてあります。
ロンドンのリージェント・ストリートなどにショオ・ウィンドウが完備されるようになったのは、1810年代のこと。いわゆる「リージェンシー・エイジ」。後のジョージ四世が、摂政殿下であった時代。
とにかく「普請道楽」に凝ったお方でしたから。曲線の美しいリージェント・ストリートを作らせるのも、朝飯前のことであったでしょう。
小林章夫著『ロンドン都市物語』には、かのジョンソン博士の話も出てきます。
ジョンソン博士はパブ通いに熱心で。ことに「イ・オールド・チェシャー・チーズ」がお好みで。この店、1667年に再建されたというから、古い。今も盛業中で、ちゃんと「ジョンソンの席」が確保されています。
『ロンドン都市物語』には、世紀末の、オスカー・ワイルドの写真も出ています。この写真でオスカー・Sが着ているのが、「ウォーキング・スーツ」当時の「散歩服」。具体的には、モーニング・コートと、ラウンジ・スーツとを足して二で割ったスタイル。
言い換えればモーニングからスーツへの過渡期の産物だったのです。
どなたか現代版のウォーキング・スーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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