スープとスコッチ

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スープは、西洋味噌汁のことですよね。朝ごはんに味噌汁は付き物でしょう。また、西洋料理にスープは欠かせません。
スープの古い言い方に「ソップ」があります。相撲の世界では今なお「ソップ」の言葉が使われるんだそうですが。
これはオランダ語の「ソップ」soepから来ているんだそうです。大正時代までは、ごくふつうに「ソップ」が用いられていたという。
昭和に入ってからは、英語の「スープ」が一般的になったんだそうです。
でも英語に「ソップ」sopの言葉がないでもありません。辞書を引いてみると、「袖の下」と出ています。ソップのもともとの意味は、スープに浸したパンのこと。
その昔、番犬を手なずけるために、スープに浸したパンを与えた。ここからやがて「袖の下」の意味が生まれたんだそうですね。

「………五皿と云ふものを前に並べて、夢のごとくスウプを吸つて了ふと………」

尾崎紅葉が、明治二十九年に発表した小説『多情多恨』に、そのような一節が出てきます。尾崎紅葉は、「スウプ」と書いているのですが。

スープが出てくる小説に、『チャイニーズ・スクリーン』があります。英国の作家、サマセット・モオムの物語。これはモオムが1920年代に中国を旅した時の「ノート」をそのまま発表した内容になっています。ノート、あるいは、スケッチ。モオムの作品としては、かなり風変りな内容と言えるでしょう。

「………スープにシェリー酒、魚にホック酒というふうに。」

もちろん中国での食事の様子として。
また、『チャイニーズ・スクリーン』には、こんな描写も出てきます。

「灰色のスコッチ羅紗製の三つ揃いを着て、水玉模様のネクタイをしめ、出来るだけ牧師らしく見えないようにしていた。」

これは四十代の、英国人牧師について。
ここでの「スコッチ」が、トゥイードであるのは、言うまでもないでしょう。
戦前までの日本で「スコッチ」といえば、トゥイードのことだったとです。
どなたか1930年代の「スコッチ」を復活させて頂けませんでしょうか。

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