アブサンとギャバン

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アブサンといえばいいのか。アプサンといえばいいのか。迷ってしまいますよね。
アブサン absinthe ですから、やはり「アブサン」と訓みたくなってくるんですが。
アブサンはもちろん、フランス語。フランスでは、「アプサンテ」最後の「t」を軽く発音するんだとか。でも、日本では「アブサン」が多いようですね。
アブサンは1790年に、スイスで生まれたという。ピエール・オルディネ博士によって。
ピエール・オルディネ博士はれっきとしたフランス人。でも、その頃はフランス革命期。オルディネ博士は難を逃れて、スイスに。ヌーシャテル近くの、クーヴェという村に住む。そんなわけで、そもそものアブサンは、スイスにはじまっているわけですね。
ただしアブサンは博士が個人的に飲むためのもので、売物ではなかったのですが。そして1793年に、オルディネ博士は世を去る。
その後、オルディネ家のじょ女中だった、アンリオによって保管されていた処方箋を元に、アブサンが再現される。
それはニガヨモギをはじめ、アニス、アンジェリカ、フェンネなど十数種の薬草のエキスを抽出したものだったのです。

「アプサントの緑色した溶岩は 櫂をひろげて宙づりされた美しい夕べを沈めた……」

フランスの詩人、アルトナン・アルトはそんなふうに詠んでいます。『酒瓶とグラス』の、一節。これは1910年代の詩。つまり1915年に、アブサンが禁止される前のこと。
十九世紀末のフランスではずいぶんアブサンが流行ったらしい。ロオトレックの絵にも、アブサンは出てきます。もっともロオトレックの場合、アブサンは描くより飲むほうが多かったようですが。
1859年に、エドアール・マネも『アプサンを飲む人』を書いています。マネももちろん、アブサンを飲んだひとりでしょうね。
1859年5月22日に。スコットランド、エディンバラに生まれたのが、コナン・ドイル。コナン・ドイルがシャーロック・ホームズ生みの親であること、言うまでもありません。シャーロック・ホームズが出てくる小説に、『これいただくわ』が。1989年に、ポール・ダドニックが発表した物語。

「シャーロック・ホームズを愛嬌よくずぼらにして、若くしたら、こんなものだろう。」

これは二十六歳の青年、ジョーの姿。ジョーは何を着ているのか。

「とろけるような緋色のギャバジン織りのシャツ……」。

この下には、ジーンズとバスケット・シューズを合わせています。いいなぁ、ギャバジンのシャツ。
なにかギャバジンを着て。アブサンについての本を探しに行くとしましょうか。

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