童話とズボン

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童話もときには読んでみたいものですよね。童話をたくさん書いた人に、チャペックがいます。
カレル・チャペックは、チェコの作家。必ずしも童話作家ではないのですが、その割には、多くの童話を手がけています。なんでも11篇の童話を遺しているんだそうですね。カレル・チャペックは、「まえがき」としてこんなふうに。

「童話はね、ほんとうにほんとうの話なんだ。そのうえ、ほんとうの話がね、たくさんあるんだよ。」

たしかに、そうなのかも知れませんね。実際にあった話だと書くと、差しさわりがある。具体的な名前を出すと、迷惑がかかる。それで「昔むかし、あるところに……」としておく。人間だと具合が悪いので、「大きなライオンが……」としておく。それが童話でもあるのでしょう。
チャペックに、『とってもながーいネコちゃんの童話』があります。これは「いたずらっこ国王」が、猫を買う話。どうもチャペックは猫好きだったみたいで、猫の話がよく出てきます。
チャペックの書いた短篇小説に、『フォアグラのパテ』が。これは主人公の、ミフルがフォアグラのパテを買って、飼っている猫に食べさせる話なんですね。
フォアグラのパテが出てくる短篇なら、イギリスにもあります。『公爵夫人と宝石商』。ヴァージニア・ウルフが、1938年に書いた小説。

「フォアグラのパテを、一杯のシャンペンを、すばらしいブランデーを……」。

これは主人公の、オリヴァー・ベーコンが食事をしている場面。また、こんな描写も。

「オリヴァーは申し分のないズボンをまとった自分のかっこうのいい両脚に眼をやる。( 中略 ) サビル・ローの一流の仕立屋が最高級の布地で仕立てたズボンだ。」

著者のヴァージニア・ウルフは、洒落者に深い関心を持ってもいました。
さて、お気に入りのズボンで。古い童話を探しに行くとしましょうか。

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