洒落者には憧れますよね。
洒落者にもいろんな方がいらっしゃるんでしょうが。
たとえば、ロニー・コーンウェル。ロニー・コーンウェルはほとんど無名かも知れませんが。
「チェルシーにアパートを持ち、ジャーミン・ストリートにオフィスを構え、高級車を乗りまわし、注文仕立ての服を着て手造りの靴を愛用した。」
これは、ロニー・コーンウェルの様子。アンソニー・マスターズ著、永井 淳訳『スパイだったスパイ小説家たち』の一節。
ロニー・コーンウェルは、ジョン・ル・カレのお父さんなんですね。ジョン・ル・カレの本名は、デイヴィッド・ジョン・ムーア・コーンウェル。1931年10月19日。英国、ドーセット、プールの町に生まれています。
デイヴィッド・コーンウェルが英国情報局に入るのは、1950年代のこと。いわゆる、MI 5へ。MI 5からMI 6に移るのが、1960年のこと。それでドイツ、ボンの英国大使館に入っています。さらにはハンブルクの領事に。
ジョン・ル・カレの名前で、『死者にかかってきた電話』を発表するのは、1961年のこと。この時はまだ情報部員として、現役だったわけですね。
そして、ジョン・ル・カレの名前が世界的に知られるようになるのが、1963年の『寒い国から帰ってきたスパイ』。
1963年にヒットしたミュージカル映画が、『シェルブールの雨傘』。カトリーヌ・ドヌーヴの出世作ですよね。
シェルブールが出てくるミステリに、『盲目の理髪師』が。ディクスン・カーが、1934年に発表した物語。
「クイーン・ヴィクトリア号がサザンプトン、シェルブルグにむかってニューヨークを出たとき……」
「シェルブルグ」は、シェルブールのことなんでしょうね。また、こんな描写も。
「白いフラノのズボンに無造作に青い上着を羽織り、スポーティなネクタイ。」
これは船上での、英国の外交官、カーティス・ウォーレンの着こなし。「青い上着」は、ブレイザーかも知れませんね。
さて、ブレイザーを羽織って。洒落者を真似るとしましょうか。