ジャンとシャツ

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ジャンで、名優で、といえば、ジャン・ギャバンでしょうか。
ジャン・ギャバンはボルドー・ワイン。ジャン・ギャバンほど熟成を重ねて美事な味わいに達した俳優もいないでしょう。ことに、劇中で、ごく自然に食事をする場面は芸術品ですね。
ジャン・ギャバンは1904年5月17日。パリの、ロシュアール23番地に生まれています。
ジャン・アレクシス・ギャバン・モンコルジェとして。ギャバンはもともとお父さんの、芸名。お父さんも、芸人、お母さんさんは歌手。ジャン・ギャバンは俳優になるべくして生まれたと言って良いでしょう。
1930年代のはじめになると、そろそろジャン・ギャバンの名前が売れはじめて。
「ジャン・ギャバンって、いるだろ。実はねえ、ここだけの話。オレの息子なんだよ。」
お父さんにとって、ジャン・ギャバンは自慢の息子だったんですね。父のフェルディナンが世を去るのは、1933年11月19日。明け方の四時ころに。椅子に座ったままの姿で。11月19日は、寒い日で。フェルディナンは椅子に座ったままの姿で。11月19日の夜は、寒い日で。ストーヴをつけたまま。換気が良くなかったのでは、と考えられています。
フェルディナンに手には、映画雑誌『プール・ヴ』に紹介されたジャン・ギャバンのページが開かれて。
ジャン・ギャバンが結婚したのは、1933年11月23日。踊り子のドリアヌと。本名は、ジャンヌ・モーシャンですが、誰もが芸名のドリアヌと呼んだ。
ジャン・ギャバンを大スターにした映画が、『望郷』。『望郷』のなかでギャバンは水玉のスカーフで登場する場面があります。正確には水玉ではなくて、小さな輪の連続模様なのですが。あれはもともとドリアヌのものだったそうですね。
『望郷』は1936年の映画。1936年のフランスで発表されたのが、わたしの修業時代』。もちろん、コレットの作。この中に。

「青いスカーフ、青いハンカチ、青い麻の花の色のシャツ、ボタン穴にも青のイチハツなどを好み……」

これはフランスの作家、ジャン・ロランの着こなし。ジャン・ロランは自分の瞳がブルーなので、小物はすべてブルーで揃えたんだそうですね。
なにか自分好みのシャツを着て。ジャン・ギャバンの古い映画を探しに行きましょうか。

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