アランとアルパカ

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アランは、わりあいと多い名前ですよね。もちろん俳優にも、アランという名の人物がいます。
アラン・ラッド。アラン・ドロン。アメリカとフランスの違いはありますが、どちらのアランも美男子であります。
アラン・ドロンの出世作が、『太陽がいっぱい』であるのは、言うまでもないでしょう。『太陽がいっぱい』の原作が、『才人リプリー君』。パトリシア・ハイスミスが、1955年に発表したミステリなんですね。
パトリシア・ハイスミスは『才人リプリー君』のヒットの縁起をかついで、その後も「トム・リプリー物」をいくつか書いています。たとえば、『リプリーをまねた少年』とか。この中に。

「ありふれたフレンチブルーのワークシャツに、ブルージーンズをはいていた。」

服装描写が念入りで、嬉しい作家です。パトリシア・ハイスミスは永くヨーロッパに住んで、アメリカの話を書いた。それが美事な服装描写と関係があるのではと、勝手に考えているのですが。
『太陽がいっぱい』の、ルネ・クレマン監督は、1964年に『危険がいっぱい』を撮っています。これまた、縁起をかついでのことだったのでしょうか。原題は、『ジョイ・ハウス』。1954年に、デイ・キーンが発表したミステリ。この中に。

「ハード仕立てのグレーの背広と、三百ドルしたグレーのアルパカのラップコートと…………」。

これは物語の主人公、マーク・ハリスの着ている服装。1953年ころの「三百ドル」は、今のいったいどのくらいなんでしょうか。
アルパカは、リャマやヴィキューナとも近い動物。昔から、様ざまな場面で用いられてきた獣毛なのです。

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