キリストはもちろん、イエス・キリストのことですよね。キリスト教は偉大な宗教でしょう。が、その前に、イエス・キリストが尊敬すべき人物であったことも間違いないことです。
イエス・キリストの行いでよく識られているものに、罪人を赦した伝説があります。
ある時、ある女性が罪を犯した。そこで人びとはその女に石を投げようとした。イエス・キリストはただ黙って、土の上に文章を書いている。で、人びとはキリストに言った。「この女は罪を犯したのですよ!」するとキリストは静かに言った。
「あなたたちの中で罪を犯したことのない人間から、まず石を投げなさい。」
このイエスの言葉を聴いた人びとは、一人去り、二人去り、結局誰もいなくなった。そこでキリストは女に言った。
「誰もあなたを罰しはしない。だからあなたはこれから罪を犯さないようになさい。」
後に彼女はイエス・キリストの弟子になったという。
イエス・キリストの最期。キリストは十字架の磔に。その時、キリストは磔の役人のために、祈った。
「神よ、どうか彼らをおゆるしください。彼らは、自分で何をしているのか、分かっていないのですから。」
キリストが出てくる小説に、『従兄ポンス』があります。オノレ・ド・バルザックの名作。
「かつては画家たちの描くイエス・キリストのように、美しく瑞々しかった彼の顔は…………………。」
これは、フリッツ・ブルンナーを指してのことなのですが。また、『従兄ポンス』には、こんな描写も出てきます。
「ぴかぴか光る繻子のチョッキを着こみ、聖なるもののように大切に扱われている帽子をかぶり、古い手袋をはめて、キャラコのシャツを着用している。」
これは、プーランという男の着こなし。「キャラコ」は平織綿布のこと。下着やシャツに多く使われたものです。
その昔、インド、カリカット港から舶載された生地なので、その名前があります。カリカット転じて、「キャラコ」。
もっともカリカットは、古名。今は、コーリコードと呼ばれている場所のことです。
キャラコのシャツで、キリスト伝説の本を探しに行きましょうか。