おしゃれとオイルスキン

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おしゃれは、よく口にする言葉ですよね。おしゃれな服とか、おしゃれな人とか。漢字で書くと、「御洒落」でしょうか。洒落に御が添えられて、御洒落。
では、「おしゃれ」と「しゃれ」とは、どう違うのか。ごく簡単にいって、「しゃれ」は言葉の技。一方、「おしゃれ」は服装の技。つまり、もともとは同じところから出ているみたいですね。要は「洗練の技」。それが言葉にあらわれるのか、服装にあらわれるのかの違い。
しゃれは、「晒れ」。晒されて晒されて、洒脱になった状態のこと。けれども言葉の技も服装の技も同じ「しゃれ」ではわかりにくいので、御洒落」の表現が生まれたのでしょう。
式亭三馬が文化十年に発表した『浮世風呂』にも、「お洒落」が出てきます。

「お初どんがあんなにお洒落だよ……………………。」

ということは、江戸期からすでに「おしゃれ」の言い方はあったのでしょうね。
今、おしゃれな人で想い起こすお方に、池田 潔がいます。池田 潔は、池田成彬の次男。池田 潔は17歳で、英國留学。1926年には、ケンブリッジ大学を卒ています。戦後からの長い間、慶應義塾大学、英文科の教授であった人物。
いつもなんでもない無地のスリーピース・スーツに、無地のタイを結んでいたお方。服がごく自然に身体に溶けこむようでありました。
池田 潔のケンブリッジ大学時代の話。昭和三十三年『洋酒天国』 27号に、『下戸の失敗』と題する随筆を寄せています。

「巡査がオイルスキンのマントをかけてくれたというのだが、むろん、ぼくは覚えていない。」

池田 潔は、下戸。それがたまたまチェリー・ブランデーを飲んで、酔って。ケンブリッジの大通りに立って、交通整理。そのうちに寝込んでしまって………………。

オイルスキンは、アメリカでいうところの、「スリッカー」に近いものです。
オイルスキンのコートを羽織って「おしゃれ」に見えるようになりたいものですが………………。

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