シトロエンとシルク・スーツ

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シトロエンは、フランスの自動車ですよね。1919年に、アンドレ=ギュスターヴ・シトロエンがはじめたので、その名前があります。アンドレ=ギュスターヴ・シトロエンは、1878年に生まれています。四十歳くらいで、自動車を造りはじめたのでしょう。
アンドレ=ギュスターヴ・シトロエンは、もともとの姓は、「リモエンマン」。でも、当時はなにかと具合の悪い姓で、後で変えたものです。リモエンマンはなんとなくレモンを想像させるところがあって。レモンをフランスでは、シトロン。シトロンを少しひねって、「シトロエン」に。ウソみたいな話ですが、ほんとうのことです。
「シトロエン2CV」が登場したのは、1939年のこと。横倒しになっても、人間一人で簡単に元に戻せる、なんて言われたほどにユニイクな構造でありました。とにかく、その時代に座席が自分の手で着脱自在だったのですから。
高級車の、「シトロエンDS」が誕生したのは、1957年のこと。まるで一筆書きのようなハンドルの形に驚かされたものです。フランスでは、「デッセ」の愛称で呼ばれました。「女王」の意味。「DS」の発音は、「デッセ」とも。「デッセ」なら「女王」だろうと、その呼び名が生まれたんだとか。
シトロエンが出てくるミステリに、『危険なささやき』があります。1983年に、J・P・マンシェットが発表した物語。フランス製ミステリですから、シトロエンが登場するのも、当然でしょう。

「おれのシトロエン2CVを使う気はない。」

これは主人公で、私立探偵の、ウージェーヌ・タルポンの科白。つまり、タルポンの愛車はシトロエン2CVという設定になっているわけですね。また、『危険なささやき』には、こんな描写も出てきます。

「絹のスリーピースの上にローデン織のコートを着ていた。」

これは、タルポンの事務所にやってきた、シャルル・ブラディエという男の着こなし。
シルクの、スリーピース・スーツ。憧れますね。夢は、シルクのスーツで、シトロエン2CVに乗ってみることでしょうか。

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