たんぽぽとタモシャンター

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たんぽぽは、よく野原で見かける黄色い花ですよね。子どものころ、たんぽぽを折って、つないで、野の首飾りをつくって、遊んだ記憶があります。
たんぽぽはたしかに野の花なんですが。小説の題にも、『たんぽぽ』があります。川端康成の晩年の物語。昭和三十九年から連載。ただし『たんぽぽ』は、あともう少しというところで、未完に終っています。

「生田川の岸には、たんぽぽが多い。川岸にたんぽぽの多いことが、生田町の性格をあらはしてゐる。」

この第一行から、なにげなくはじまるのが、『たんぽぽ』。でも、やがて川端康成の世界に引きずり込まれてしまうのですが。
川端康成が、当時の松原秀子と結婚するのが、昭和五年のこと。康成は、その時、菊池 寛に報告に。すると、菊池 寛は言った。
「新婚旅行の足しにでも……………………。」
封筒の中を開けてみると、二百円が入っていたそうです。
たんぽぽが出てくる名著に、『英国人』があります。1981年にマイケル・ウォトキンズが書いた物語。これは市井のイギリス人についての書物としては、別格の本でしょう。この中に。

「一面の緑の中に、デイジーやキンポウゲやタンポポがまき散らしたように咲いている。」

これは、水門案内人の、ロイ・ダンスタンを語る時の筆つかいなのです。英国の、それも田舎の、ふつうに暮らす人々が集められた内容になっています。
あるいはまた、ホーリー・アイランドの住民も出てきます。

「セルビーはタモシャンターをかぶり、ベニヒワのように囀っている。」

ホーリー・アイランドにもタモシャンターは欠かせないようです。スコットランドの、伝統的な帽子のことです。
タモシャンターをかぶって、たんぽぽが咲いている田舎のパブに行きたいものですが…………………。

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