ジャックは、男の子の名前ですよね。ジャックは私にとって忘られない名前です。
はじめての英語の教科書に、「ジャック・アンド・ベティ」とあったから。これはたぶん日本の「太郎と花子」なんだなと、思った記憶があります。
ジャック J ack にもいろんな意味があるようですが。その中のひとつは、フランス語の「ジャック」 j aq u e から来ているとの説もあります。この場合の「ジャック」は「上衣」のこと。
「上衣」と関係があるのかどうか、昔の英国には、「ジャック・ア・ダンディ」の言葉があって。というよりも、ジャック・ア・ダンディから今の、「ダンディ」d andy が生まれたと、考えられています。
ジャックとおしゃれは、どこかで繋がっているのかも知れませんね。
私の好きなジャックに、ジャック・ロンドンがいます。1876年に生まれた、アメリカの作家。代表作は、『遠い呼び声』でしょうか。主に、野外生活だとか、冒険生活だとかを書いた作家。男の子としては好きにならずにいられない小説家です。
同じくアメリカのロンドンに、ジュリー・ロンドンが。女性の、ジャズ歌手。あの有名な『クライ・ミイ・ア・リヴァー』は、ジュリー・ロンドンの十八番。1955年のヒット曲。
ジュリー・ロンドンはもともと女優志望で。その後、歌手に転向。ですから、美人で。ハスキー・ヴォイスで、耳元で囁くように歌うんですから、好きにならずにいられません。
1961年のパラマウント映画に、『片目のジャック』があります。これは唯一のマーロン・ブランドの監督映画。むろん、主演もマーロン・ブランドですが。原題も、『ワンアイド・ジャック』。実によくできた西部劇であります。
ジャックが出てくるミステリに、『船から消えた男』が。1936年に、フリーマン・ウィルズ・クロフツが発表した物語。
「彼女はジャックがなかなか現れないので、気がかりだった。」
ジャック・ペンローズは、新進気鋭の弁護士という設定。「彼女」とは、婚約者の、パミラ・グレイということになっています。
『船から消えた男』には、こんな描写も。
「彼が本当に手にしたかったのはシャープペンシルだったのではないか?」
この「シャープペンシル」は、繰り返して、何度も出てきます。シャープペンシルは、事件の謎を解く鍵のひとつでもあるから。
これはたぶん金のシャープペンシルだと思われますが。
クロフツの原文では、「プロペリング・ペンシル」。「回転式鉛筆」とでも訳すべきでしょうか。
同じものをアメリカでは、「メカニカル・ペンシル」。こちらは「機械式鉛筆」でしょうか。「シャープペンシル」はれっきとした和製英語。1915年に、早川徳次が命名したもの。
それはともかく、ゴールドのシャープペンシル、欲しいものです。ジャック・ロンドンの『白牙』を読むときにも、横においておけるし。