ヴォルテールとウプランド

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ヴォルテールは、中世フランスの哲学者ですよね。ただ、「ヴォルテール」は、筆名。本名は、フランソワ・マリ=アルエ。
1713年に、若き日のマリ=アルエは、オランダへ。父の友人、シャトオヌフ候がオランダ大使になったので、その秘書として。ヴォルテール、十七歳の時。
オランダのハーグの、オランプという美少女に出会って、ほの字に。でも、まわりの皆から、もう会ってはいけないと、止められて。
ヴォルテールはオランプに、上から下まで男の衣裳を贈って。オランプはその男の服装でヴォルテールを訪ねると、誰も気づく者がいなかったという。
ヴォルテールは大人になってからも、筆禍事件から、美女に助けられています。たとえば、ある貴族の戀を書いて、問題に。そのヴォルテールの危機を救ったのが、エミリー。当時はすでに、エミリー・デュ・シャトレー侯爵夫人でありましたが。
エミリーは、才色 兼備の女性。お美しい物理学者でありました。ある時、たまたま、九桁と九桁の割算が必要になって。エミリーはたちどころに、暗算で答を。
エミリーは、1725年、十九で、シャトレー侯爵と結婚。なんでありますが、戀多き女でもありまして。そのエミリーがヴォルテールに出会うのが、1732年頃のこと。たちます、相思相愛。

耳を傾けなさい、尊いエミリーよ。
あなたが美しいので、人間の半数は
あなたの敵になるでしょう。

ヴォルテールは、1733年に、エミリーに、このようにはじまる詩を贈ってもいます。事実、結果はそうであったのですが。貴族の淑女たちは皆、エミリーを非難したと伝えれています。
では、その頃のエミリーの生活はどんなふうだったのか。
朝は九時に、起床。午後三時まで、研究。三時になると、珈琲。四時から十まで、研究。十時に、ヴォルテールと夕食。夕食後は、ヴォルテールと歓談。十二時から朝の五時まで、研究。五時に、就寝。四時間くらいの睡眠だったのでしょう。
ヴォルテールが出てくる小説に、『失われた時を求めて』があります。もちろん、プルーストの名作。

「オロスマーヌの衣裳を着た見事な悲劇女優のように白と青のターバンを巻いて現れた。」

「オロスマーヌ」は、ヴォルテールの『ザイール』の登場人物。プルーストの『失われた時を求めて』には、何度もヴォルテールの話が出てくるのですが。
また、『失われた時を求めて』には、こんな場面も。

「その顔も見えなかったし、大きなウプランドに隠れてその軍服も見えなかったにもかかわらず、なぜか私がハッとしたのは……………………。」

ウプランド h o upp el and e は、フランスの中世に流行した、ゆったりとしたコオトのこと。当時は、男女の別なく着られたという。そのコオトの袖が広く仕立てられるのが、特徴。
ヴォルテール同様、ウプランドも、もっと見直されて良いのではないでしょうか。

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