お嬢とオーガンディ

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お嬢は、お嬢様のことですよね。お嬢様を半分略して、お嬢。お嬢は、わりあい使われている言葉なのかも、知れません。
でも、ほんとうの「お嬢様」は、どこにいらっしゃるのでしょうか。少なくとも私はれっきとした「お嬢様」に、お目にかかったことがありません。
世の中には、「深窓のお育ち」というくらいですから。広い広いお屋敷の中で、多くの召使いにかしずかれて、外にはお出にならないのでしょう。
でも、ここにお一人例外があって、犬養道子。このお方、どこから拝見しても本物の「お嬢様」。しかし活動的で、数多くの著作もありますから、その為人を拝察することができるのです。
犬養道子はまた、敬虔なるクリスチャンでもあって、多くの慈善活動をも行っています。
犬養道子は、大正十年のお生まれ。平成二十九年に、九十六歳で、天寿全うしています。大正のお生まれで、九十六歳はまさに天寿でありましょう。
大正期の首相、犬養 毅は、道子のおじいちゃんですから、お家柄ひとつとっても、お嬢様でありました。

「どこのお嬢様かと、つい見とれてしまうお小間使が、銀の大皿を持って一番おしまいにあらわれるのを、ああ、どんなに私は待ったことだろう!」

犬養道子著『花々と星々と』に、そのように出ています。たぶん、昭和のはじめ頃のことでしょう。もちろん食後のデザートの時間。そこに、ババロアやブラマンジェなどが出てくる。お嬢様以外の何者でもないでしょうね。
では、その時代の犬養道子は、どんな服装だったのか。

「当時はほんとのぜいたく品のオーガンディを中世の小姓の服のように衿元に飾った服を着て……………………。」

オーガンディは、薄く、張りのある絹地。半ば透けて見えるほどで、よく正装のドレスにも用いられるものです。
一生に一度。オーガンディのシャツを着て、お嬢様にお会いしてみたいものですが。

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