ブートニエールとプラストロン

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ブートニエールは、飾り花のことですね。ただし、英語では。もともとは、フランス語。「ブートニエール」 b o ut onn ièr eは、「ボタン穴」の意味。
この「ボタンホール」が海を渡りますと、「飾り花」に。要するに、上着の「襟穴」に挿す花なので、拡大解釈して、「ブートニエール」となったものでしょう。
二十世紀はじめまでの紳士は、たいていブートニエールを挿したものです。少し極端に言いますと、胸にブートニエールさえ挿していると、「紳士」だと思ってくれたのであります。
ブートニエールは生花でさえあれば、何でもよろしい。でも、一般にはカーネーションがよく用いられます。
その昔、オスカー・ワイルドはグリーンのブートニエールを飾ったことがあるという。これも、グリーン・カーネーションでありました。
緑色のインクに一晩、白いカーネーションを漬けておいて、グリーン・カーネーションにしたんだとか。
まあ、これは一例で、カーネーションが多いようです。ブートニエールにはカーネーション。そのひとつの理由は、萼。カーネーションの萼は鋭く、また外しやすい。
カーネーションを襟穴に挿した後で、萼を少し解す。と、萼が襟裏でストッパーになってくれて、外れにくくなるからです。
フォーマル・ウエアの原則でも、ディナー・ジャケットには、レッド・カーネーションということになっています。なぜ、ディナー・ジャケットにはレッド・カーネーションなのか。
燕尾服には、ホワイト・カーネーションという決まりがあるからです。
ホワイト・タイを結んだ場合には、必ず「プラストロン」p l astr on ということになっています。「イカ胸」シャツ。燕尾服に「ヒダ胸」を合わせてはなりません。必ず、「プラストロン」。
このプラストロンも、フランス語から英語になったもの。英語としての「プラストロン」は、1876年頃から用いられているとか。
フランス語のプラストロンは、イタリア語の「ピアストローネ」pi astr on e から出ています。「胸甲」のこと。昔、鎖帷子の下に重ねた「胸当て」のことだったのです。
いつか、ホワイト・カーネーションを飾ってみたいものですね。

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