元結とモーニング・コート

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元結は、むかし髪を結んだ紐のことですね。
江戸時代までは、老若男女、たいてい髷を結ったものであります。「髻」( もとどり ) を一度結んで、それから上の持ちあげて、いろいろと形を作った。つまり髪の根元を結んでおく紐なので、「元結」と名づけたのでしょう。
さっきから「紐」と言っているのですが、それは古い時代のこと。江戸も寛永の頃からは、紙製。紙縒であり、水引であったのです。紙縒なり水引で髪の根元を、結んだ。
ただし江戸では、「もっとい」。元結と書いて、実際には「もっとい」と発音したんだそうですね。
あるいはまた、「文七元結」。なんだか人の名前みたいですが、紙の名前。光沢ある、上等の紙に「文七」があって。これが元結に最適だってという。
江戸期の言葉遊びに。

洪水とかけてナンと解く。
女の頭と解く。
その心は、水引が無くては。

もちろん、「水が引く」と「水引」とをかけているわけですね。
今の時代には、髪に紙は使いません。が、昼間の正装には、モーニング・コートを着ることになっています。
これを「ビフォア・シックス」と呼ぶわけですね。モーニング・コートの下には縞ズボン。縞ズボンには、折返しを付けないことが、決まり。
ではなぜ、ストライプト・トラウザーズには、カフ・レスなのか。
これは主に1880年代以前に存在していたトラウザーズだから。
ズボンの折返しが流行になるのは、1890年代以降。で、1890年代以降の、ラウンジ・スーツなどには、カフを添えることになっているのですね。

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