マスオとマフ

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マスオは、サザエさんですよね。
長谷川町子の漫画、『サザエさん』の登場人物。
いうまでもなく、サザエさんの旦那が、マスオ。人の名前がぜんぶ海に関係があるから、
「マスオ」。世の亭主としては、ほとんど理想的な男性でありましょう。みなさん、
結婚相手をお選びになるなら、「マスオ」を目標にしてはいかがでしょうか。
もし、マスオを満寿夫と書きますと、池田満寿夫でしょうね。
池田満寿夫は、1934年2月23日。当時の満州、奉天に生まれています。
池田満寿夫と仲良しだったのが、森 茉莉。
1960年代の池田満寿夫は、富岡多恵子と暮していて。パーティーをよく開いていたらしい。このパーティーに出ていたのが、森 茉莉。

「………フランス製毛糸のトゥウ・ピイスを着て行つたが……………………。」

森 茉莉の随筆『疲労の中』に、そのように書いています。また、森 茉莉は、
『マスオとタエ子と、そのパアティ』と題する随筆の中にも、彼らとの交流をユウモア を含めて書いているのですが。
1922年、森 茉莉が、仏文学者の山田珠樹と結婚して、巴里に住んだのは、よく知られているところでしょう。
その頃、ふたりでカフェに行った時の様子。

「テエブルについて、白い帽子と白い毛皮の小さな肩かけとマッフをとつて貰った私は明るい店の中を見た。」

森 茉莉は、『カフェ・プランタン』と題する随筆に、そのように書いています。
1922年頃の巴里では、「マッフ」が珍しくなかったようですね。
おそらくこれは、「マフ 」 m uff のことかと思われるのですが。

「脱ぎ棄てた吾嬬コオト、その上に置いてあるマツフまでが、さながら目に見えるやうになるのである。」

森 鷗外が、明治四十四年に発表した小説『青年』の一節に、そのように出ています。
これは「坂井夫人」のマフ を、「純一」が想像している場面。

「今日、私は初めて、去年妻から貰ったマフ を着用した。」

サミュエル・ピープスの『日記』に、そのように書いてあります。
1662年11月30日のところに。
十七世紀の倫敦では、紳士用のマフ もあったのでしょうね。
少なくとも言葉としての「マフ 」 m uff は、1599年頃から用いられているようです。
マフ の外見は、小型枕に似ています。筒状の枕。ここに手を入れて、温めるわけですね。
どなたか絹地の、ダウン入りのマフ を、作って頂けませんでしょうか。

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