バグダッドとバブーア

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バグダッドは、イラクの首都ですよね。
バグダッドはまた、「バクダード」とも。いや、「バクダード」のほうが原音に近いとの説もあるようですが。
1987年の映画では、『バグダッド・カフェ』になっていた記憶があります。映像も、また主題歌も印象に遺る映画でしたね。
バグダッドが出てくるミステリに、『バグダッドの秘密』があります。1951年に、
アガサ・クリスティーが発表した物語。

「カイロ、バグダッド、テヘラン行きのお客さまはどうか空港行きのバスにご乗車下さい」

これは飛行機会社のアナウンス。『バグダッドの秘密』という題ですから、バグダッドが出てこないはずがありません。
アガサ・クリスティー自身、何度もバグダッドには足を運んでいます。アガサは古跡の発掘に興味があったので。
1930年にアガサが、考古学者の、マックス・マローワンと結婚したのは、広く識られているところでしょう。
アガサは遺跡の発掘現場で、夫を発掘したわけであります。
バグダッドといえば、『アラビアン・ナイト』でしょうか。もちろん、『千夜一夜物語』のことですね。
だいたい八世紀頃の説話が中心になっているのではないかと、考えられているようですが。
『アラビアン・ナイト』の、896夜に、『バクダードの金持ちと奴隷娘の物語』が出てきます。
例によって例のごとく、延々と続く話なのですが。この中に、「ウード」が出てくるのですね。ウードは、ちょっとリュートに似た十一弦楽器。
離れ離れになった戀人同士が、このウードの弾き方で、互いの存在を確認する場面があります。なるほど楽器にはそんな効用もあるんです。
バグダッドが出てくるミステリに、『真夜中への挨拶』が。レジナルド・ヒルが、2004年に発表した物語。

「最近、バグダッドの親類を訪ねたとき、冷蔵庫の中にこんなふうにラップで包んだ食べ物が……………………。」

これは「カリッド・カッセム」という少年の印象として。また、『真夜中の挨拶』には、こんな描写も出てきます。

「彼女は乗馬ズボンを穿き、シルクのスカーフで頭を覆い、バーバーの蠟引きコートをはおっている、というタイプそのものなのだった。」

ここでの「彼女」とは、「ドリー・アプショット」という女性。日本語訳は、松下祥子。

『真夜中の挨拶』を私は古書店で買ったものです。
文中の「バーバー」に線が引いてあって。欄外に鉛筆で、BARBOUR と書いてあるのです。
たしかに「B ar b o ur 」は発音が難しい。
1894年に、ジョン・バーバーがはじめたので、その名前があるとのこと。
イギリス人は、「バーバー」に近い発音なんだとか。訳者、松下祥子の訳語が正しいのでしょう。
どなたかバーバーの生地でトレンチ・コートを仕立てて頂けませんでしょうか。

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