茶は、お茶のことですよね。私たち日本人が毎日のようにに飲む茶のことであります。
朝起きて、まず一杯の茶は、心を落ち着かせてくれるものです。
むかしの日本人は、茶には十の徳があると考えていたんだそうですね。それで、「茶の十徳」。
何が茶の「十徳」であるのかは、いくつかの説があるようですが。たとえば、明恵上人の場合ですと。
○ 散鬱気
○ 覚睡気
○ 養生気
○ 除病気
○ 制礼
○ 表敬
○ 賞味
○ 終身
○ 雅心
○ 行道
明恵上人はこれを「茶の十徳」だと考えていたようですね。
「茶の十徳」は江戸時代にも、広く信じられていたらしい。
貞享五年に、井原西鶴が書いた『日本永代蔵』にも、「茶の十徳も一度に皆」の章題がつけられています。これは当時の敦賀の繁栄を描いた物語なのですが。
茶に似ているものに、紅茶があります。「紅茶十徳」というのがあるのかどうか知りませんが。
團 伊玖磨は子どもの頃。病気になるとお母さんが紅茶を飲ませてくれたという。
名随筆『パイプのけむり』の中に、そのように書いています。そしてさらに。
「上等なホテルに泊まると、モーニング・コールの時に、所謂モーニング・ティーを持って来て呉れる。これは朝食では無い。ベッドに居て飲む紅茶、目覚ましの紅茶がモーニング・ティーなのだ。」
1950年代のロンドンの宿について、團 伊玖磨はそのように書いています。
『パイプのけむり』には、オーストラリアの話も出てきます。團 伊玖磨が「エアーズ・ロック」を観た帰り、カンガルーの毛皮を買った、と。
ここから毛皮の話になって。團 伊玖磨は冬、自宅では毛皮のチョッキを着ているのだ、と。
「アンデス山脈に棲むチンチラや、リャマの変種アルパカ、北アメリカ産のミンク、アフリカの豹、ロシアのアストラカンの黒羊などのものは、女性の渇仰の的になっているようである。」
「チンチラ」 ch inch ill a は、リスの一種なんだとか。毛質は、絹に似て、極上。ただし、産出量がわずかなので、高価でもあります。
どなたかチンチラのチョッキを仕立てて頂けませんでしょうか。