モーテルとモールスキン

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モーテルは、宿のひとつですよね。自動車と一緒に泊まれる宿屋といえば、良いのでしょうか。
もちろん、m ot or とhot el を足して二で割った、アメリカ英語ですね。
たいていは街道沿いにあって、平屋。ホテルのように巨大なビルディングは、少ない。自動車での長旅には重宝なものでしょう。
モーテルがアメリカに誕生したのは、1920年代のことなんだそうですね。
1920年代、シアトルからサン・ディエゴに向う道筋に、いくつかの「自動車宿」があって。これは、「マイルストーン・インターステイト社」の経営により連鎖店だったのです。
この「マイルストーン・インターステイト社」が、1925年頃の、「モーテル」と命名。ここから後に「モーテル」が一般名称になったと、伝えられています。
モーテルとハードボイルドも、まったく無関係ではなくて。1930年代のはじめに。レイモンド・チャンドラーは、ある事情から、失職。それで暇になって、奥さんのシシーと一緒に、旅へ。この旅の途中に泊まってのが、モーテル。そのモーテルで読み捨てにしたのが、当時のパルプ・マガジン『ザ・ブラック・マスク』だったのです。
「これなら、私にも書ける」と、チャンドラーが思ったのかどうか。
それで書いた第一作が、『脅迫者は射たない』だったのです。これは1933年『ザ・ブラック・マスク』12月号に掲載されています。
一時期、モーテルの支配人だったハードボイルド作家に、ジョー・ゴアーズがいます。過去に職業を転々とした作家は、珍しくありません。
ジョー・ゴアーズもまた、英語教師をはじめ、木樵、漁師、サーカスの雑役夫、モーテルの支配人………などを経て。最後、サンフランシスコで探偵社に入っています。そして私立探偵の経験から、ハードボイルド小説を書くようになったものです。
ジョー・ゴアーズが、1975年に書いた長篇に、『ハメット』があります。『ハメット』は題からも窺われるように、ダシール・ハメット自身がサンフランシスコの探偵となる物語なのですね。この中に。

「くすんだモールスキンの上着に、ニッカーボッカー、ゴルフ帽といった服装の……………………。」

これは新聞売りの少年の姿。ダシール・ハメットはこの少年から、ボクシング専門誌『ノックアウト』を一部買う場面。
「モールスキン」m o l esk in は、表面に毳のある生地のこと。まず例外なくコットンで、まことに丈夫な布地。コットン・ヴェルヴェットにも似ていますが、モールスキンは裏表の両面に毳があるのが、特徴。
1920年頃のサンフランシスコでは、新聞売りの少年が、モールスキンのジャケットを着ることもあったのでしょうね。

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