コルクとコードヴァン

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

コルクは、栓にも使われますよね。c o rk と書いて、「コルク」。
コルクの元は、「コルクガシ」の樹肌なんだそうですね。防音性もあって、防音材にも使われるんだとか。
でも、私たちの身近かなものとしては、「ブション」。ワインの栓として。たいていはワインのコルク栓を開けて、中身を飲むことになっています。コルク栓を美事に開けるのも、洒落者の条件のひとつなんでしょうか。

コルクが出てくる書物に、『西国立志編』があります。
1859年に、サミュエル・スマイルズが発表した啓蒙書。日本語訳は、中村正直。日本語版は、明治三年に出ています。

「毎夕酒店に行きて麦酒を飲みけるが、常にコルクを集めこれを懐にして帰しほどに八年を経て後、これを八ポンドに売り、この金をもって資産の基礎となし……………。」

その頃、パリの銀行家だった、オステルヴァールの、若い時代の話として。当時のパリでは、ビールの栓にもコルクが用いられていたのでしょう。
その昔、日本でもビールの栓にコルクが使われていたらしい。

「その人はテーブルの引出しからネジ釘を一本出して、指先でつかんで、キリキリとコルクの中へねじ込んだ ポン! といってコルクが抜けた…………。」

稲垣足穂が、大正十二年に発表した『一千一秒物語』の一節に、そのように出ています。
これはビール壜の中に、箒星が入っているとの設定になっているのですが。

コルクが描かれる紀行文に、『スペイン紀行』があります。『スペイン紀行』は、1845年に、フランスの作家、ゴーティエが発表した文章。ゴーティエは実際に、1840年に、スペインを隈なく旅もしているのです。

「しかし松林にコルクの木が交じりだしていた。いつでも栓の形でぼくが思い描いてきたコルクの木というのは実際のところ……………。」

ここのところ少し長いので、割愛させて頂きます。
ゴーティエの『スペイン紀行』を読んでおりますと。

「そこからは細く、力強くコルドバ革のように褐色に陽焼けした彼の脚が見えた。」

これはゴーティエが旅の途中で会った猟師の、「アレクサンドロ・ロメロ」の様子。ここでの「コルドバ革」は、たぶん「コードヴァン」のことかと思われます。
「コードヴァン」c o rdv an は、その昔、スペインのコルドヴァ地方でなめされていた革のこと。もともとは山羊革だったとも。現在では馬の尻革ということになっています。厚く、丈夫で、よく光る革でもあります。
どなたかコードヴァンのスリップオンを作って頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone