キュービットとキャラコ

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キュービットは昔使われていた長さの単位ですよね。だいたい50センチ前後だったそうですが。
c ub it と書いて、「キュービット」と訓んだそうですが。このキュービットはラテン語の「クビトゥム」 c ub it um から出ているんだとか。ラテン語の「クビトゥム」は、「肘」の意味。つまり、人間の肘から指先までの単位を、目安にした長さだったのでしょう。
そうかと思いますと、「ファゾム」の単位もあったそうです。ファゾム f ath om は、「一尋」のこと。人間の両手いっぱいの長さのこと。実際にはおよそ、1、8メートルくらい。
このファゾムから生まれた筆名が、マーク・トゥエイン。マーク・トゥエインは、『トム・ソーヤーの冒険』でおなじみのことでしょう。
マーク・トゥエインの本名は、サミュエル・ラングホーン・クレメンズ。少年時代のクレメンズは、ミシシッピー川の水先案内人の仕事をしていて。浅瀬が近くなると、船頭に合図を。
「マーク・トゥエーイン!」。
その意味は、「二尋だぞ!」。それ以上川底が浅くなると、座礁の危険がなくもないので。
「マーク・トゥエーイン!」。
1860年代、サンフランシスコに移ったクレメンズはやがて文章を発表するように。この時、少年時代を想い出して、「マーク・トゥエイン」と署名したんだそうですね。
ファゾムも、キュービットもそうですが、人の身体と長さの単位には、意外な結びつきがあるようです。
右手で握り拳を作って、そのいちばん高いところを測りますと。その長さは右足の寸法ときっかり同じに。不思議なものですね。
そういえば昔、生地の長さは「ヤール」が単位だったものです。ヤールは、英語では「ヤード」y ard とも。約90センチ。この「ヤード」は、ダブル・キュービットから生まれているんだそうです。
英國での「ヤード」は、ヘンリー一世の時代に制定されたそうですから、古い話ですね。

キュービットが出てくる紀行文に、『セイロン島誌』があります。1681年に、イギリス人の冒険家、ロバート・ノックスが発表した実録、体験記。

「一リヤナは一キュービットに相当し、彼らの場合には、肘の内側の骨から第四指の先端までの長さである。」

また、『セイロン島誌』には、こんな描写も出てきます。

「上半身には白か青のキャラコ製胴着、下半身にはまず白い肌着を巻き、その上に青その他の無地や模様入りの布を着る。」

これは当時のセイロン島の貴族の出立ちとして。
「キャラコ」は、和製英語。平織木綿のことです。むかしのインド、カリカット港から輸出された布だったので、「キャラコ」なったとの節もあります。

「帶は南京繻子と更紗形のキヤラコの晝夜帶。」

廣津柳浪が、明治二十九年に書いた『淺瀬の波』に、そのような一節が出てきます。ここでの「晝夜帶」は、裏表とも使える便利な帯のことです。
どなたか極上のキャラコでシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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